トップクラス…じゃないのよ
ジュリアン「誤字・脱字を教えてくれてありがとねん♪感謝のハグをしてあ・げ・る!」
試合開始…その言葉を聞いた瞬間、睨みあって対峙していたアレンとジュリアンは、お互いに地を蹴り一足飛びに間合いを詰めた。
ギィン!!!
そしてそのまま、アレンはクロスさせるように二振りの剣を振るい…ジュリアンは引き絞っていた右腕を打ち出し…2人の攻撃が互いにかち合った。
「おいおい、素手で剣と互角って…あんた本当に人間か?」
「失礼ねん!この美しくも鍛えられたボディにちゃちな刃なんて通らないわよん…ふんぬっ!!」
「うおっ!!なんて馬鹿力だ!」
競り合っていた状態からジュリアンが拳を振りぬき、アレンを弾き飛ばす。
アレンが地を蹴り、距離を詰めた分をそのまま押し戻される。
2人は最初の一撃からお互いに油断ならない相手だと確信した。
アレンは体勢を直しつつ剣を握り直し、ジュリアンは振りぬいた拳を戻し、最初のファイティングポーズにもどっていた。
ここにきてアレンの頭から危険や、逃げるなどの選択肢は消えた…目の前の男?は強い。
おそらくアリスと同じか、限りなく近しい強さを持っているだろう…そんなのを相手に集中を欠いて戦えば一瞬で潰されると感じたからだ。
一方、ジュリアンの方も内心は驚いていた。
最初の距離を詰めてきた速さも驚いたが…なにより驚いたのは自分の拳に反応して迎撃してきたことだった。
実は最初の2人の一撃…繰り出したのはジュリアンの方が速かったのだ。
超近接戦闘を得意とするジュリアンは手数が多く、速さを特徴とする戦闘スタイルだ…そこらにいる普通の冒険者ならジュリアンの繰り出す拳のスピードに付いて行けずにぶん殴られて終わりだ。
ジュリアンは自分の攻撃の方が速く繰り出したにも関わらず、しっかり対応してきたアレンに驚愕していた。
「ふふふ…やっぱりアレンちゃんは強いわねぇ、アタシの拳が痺れちゃいそうな斬撃に、アタシに付いてこれる速さ…本気になっちゃいそうだわん♪」
「そういうあんたこそ、下手な魔獣より硬い上に、その巨体でそのスピード…冒険者の中でもトップクラスなんじゃないのか?」
「あら?そういえば言ってなかったわね…」
会話をしながらもお互いの細かな動きに注意しつつ、少しずつ立ち位置を変えていく2人…。
「アタシの冒険者ランクはSランク…トップクラスんじゃなくてトップなのよん」
「まじかよ…でもまぁその強さなら納得がいくよ…ふっ!」
「来るわねっ!?」
ジュリアンのランクが本人の口から教えられる。
まさかの冒険者のトップ、Sランク冒険者である。その鍛えられ、すべての攻撃を弾く頑強で大きな肉体と、己の拳のみでどんな魔獣をも叩き潰すさまからついた2つ名が…【超豪筋のジュリアン】。
そんなSランク相手にアレンは気後れ一つせずに突っ込む…今度は一直線にではなく、ジュリアンを中心に螺旋状に走り、少しずつ近づいていく…あまりの速さに土煙でアレンの姿が霞むほどだ。
対するジュリアンは下手に動かず、アレンの動きを注視しながらその動きに合わせ、体の向きを変え構えていた。
そして土煙とともにアレンがジュリアンへと肉迫!
「…【残響】」
「上…いや!下ね!?」
アレンは土煙で己の姿を隠しつつ、武技【残響】を発動…幻影が上に跳んだ瞬間に姿勢を低くし、足を刈り払いにいったのだ。
しかしジュリアンはそれを看破…後方に跳ぶことによってそれを回避する。そして着地と同時にアレンにもう一度跳びその拳を振るう。
アレンもその攻撃に対し、足を止めて正面から打ち合う。
ギィン!…ギィギィギィギィギィギィン!!
ジュリアンは己の両手で、アレンは両手に持つ剣でお互いに攻撃を繰り出している。
ただ己の敵を打ち砕こうとしているように見えるが、見る者が見ればお互いに陣地取りをしているように見えるはずだ。
拳の近接戦闘のため、さらにアレンの懐へ潜り込み…自分の得意な距離で戦いたいジュリアン。
剣での戦闘のため、これ以上懐へと入られるのを嫌い、今の間合いで戦いたいアレン。
2人のその様子は見えない陣地を取り合うように見えるのだ。
ギィギィギィギィギィン!
「その拳!こんだけ剣を受けて!傷一つないのは!おかしいだろ!」
「うふ!乙女の体は!秘密がっ!いっぱいなのよん!!」
会話をしながらもその手を休めることはしない2人…拮抗していた状況を動かしたのはジュリアンだ。
ギィン!!ドゴンっ!!
「ふん!…疾ッ!!」
「しまっ!ぐうぅ!!!」
アレンの剣を上へと弾いたジュリアンは、その勢いを殺さず回転、回し蹴りをアレンの腹部へ突き刺さんと繰り出した。
アレンはさすがに剣を戻す暇はなく、なんとか間に合ったのは剣を持ったその腕である…両腕を重ねるように自分の体に持っていき、腹部へ入る前の蹴りを受け止めそのまま吹き飛んだ。
背後から地面へ叩きつけられたアレンは、そのままの勢いで半回転…地面を滑りながらも体勢を整え、即座に戦闘態勢を整える。
「あら~…今のが決まらないなんて…どんな反射神経よ」
伸ばした脚を戻しながらアレンに対し呆れたと言わんばかりに文句をいうジュリアン。
「あんた、本当に強いな…速さで負けたのは初めてだよ」
速さだけならアリスよりも上かもしれない…そう思えるほどにジュリアンの攻撃は速い。
アレンがジュリアンに押し負けた理由は速さもそうだが、なによりその間合いにあった…魔獣との戦闘でもここまで接近して戦うことなどなかったアレン…初めてともいえる攻撃スタイルに戸惑っていた…。
「でも…」
そう今までは…。
「少し慣れてきたかな」
そう言って、口角を上げながら剣を構えるアレン。
そしてそのまま攻撃に移る…。
「なにを…」
「【縮地】」
「なっ!?」
ギィィィィン…ズザァ―――――ッ!!
アレンが縮地にてジュリアンとの距離を一気にゼロにし…駆け抜けると同時に横凪の一閃を振るう。
だが、さすがSランク冒険者…その一撃は決まることはなかった…しかし、その速さに眼を開いて驚く。
「な、なんて速さ…」
「切れない躰にはさらに鋭利な刃を…速さにはそれを上回る速さで…対応させてもらう…【付与・斬鉄】!【縮地・蓮華】!!」
…ザッ!!…ザッ!!…ザッ!!
連続での高速移動歩法…消えては現れ、消えては現れたように見える。
「な、なによ!?は、速すぎ…っ!【鹿疾脚】!【熊豪腕】!」
先の縮地のスピード、そして攻撃力を並みの物ではないと感じ取ったジュリアンは己の武技を発動…スピードと腕力を強化し構える。
そして…そこにアレンが襲い掛かる。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!!!!!!!
「ぐっ!?これはっ!!ちょっと!!速すぎ…るっ!!」
外野で見ていた冒険者やターニャたちからはすでにアレンの姿は消えていた。否、速すぎて目に映らないのだ。
あまりの斬撃の速さに、音が繋がって周囲に響き渡る。
ジュリアンは己の力でSランクまでのし上がった猛者である…アレンの動きは目に映っていた、しかし目に映るのと動きを追えることは別である。なんとか攻撃を防いではいるが次第に捌ききれなくなり、その金剛の様な躰に傷が付いていく。
「ぬぅぅ!!このまま終われないわ!!【爆岩…】」
このままではまずいと感じたジュリアンはアレンの攻撃を弾きながらも武技を使用し、状況を打開しようと動く…だが、
「させねーよ…【双牙閃】」
ザンッ!ザンッ!!!
武技を使用する前にアレンがジュリアンの背後へ移動…双剣の武技を使用し、ジュリアンの背中から腰あたちにかけ二振りの剣を2閃ずつ…その背にバッテン印の切り傷が2つ作られた。
「ガッ!!!…ぐっ!」
この攻撃にたまらず膝をつくジュリアン…
そして攻撃を放ったアレンはいつの間にかジュリアンの正面へ移動し…剣の片方をジュリアンの首筋へと当てていた。
「…参ったわん、アタシの負けよ」
ジュリアンが己の負けを認め、力を抜いた。
アレンvsオカマランク…否、冒険者ランクSのオカマさんとの模擬戦はアレンの勝利にてその幕を閉じた。
ジュリアン「アレンちゃん、ブックマークが増えてきてるわぁん」
アレン「えぇ、非常に嬉しいですねジュリアンさん」
ジュリアン「感謝の気持ちとしてアタシとのデート券あげちゃおうかしらん?」
アレン「…みんな逃げてくのでやめましょう」
ジュリアン「そうかしら?それじゃ全力でハグすることにするわぁん♪」
アレン「みんな逃げてぇ!!超逃げてぇー!!」
ジュリアン「あと評価ボタンを押してくれたらさらにサービスしちゃうわ!よろしくね!」
アレン「…サービスはいらないと思いますが、みなさん、評価していただけると嬉しいです。よろしくお願いします」




