表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/61

まだ…登録できない


酔っぱらって絡んできた冒険者の4人を、それぞれ一撃で意識を刈り取ったアレン…その一部始終を見ていた他の冒険者や、ギルド関係者は驚き、声を失っていた。


「さてと…あの、ターニャさん?」

「は、はい!」

「えと…正当防衛でいいんですよね?なにか処罰的なものって…」


そう、恐る恐る受付嬢のターニャへと言葉をかけるアレン。

一応先に確認を取ってが、ギルド内で騒動を起こしたことには変わりなく、なにかしらの処罰を恐れたのだ。

その問いに対し、ターニャはしっかりとアレンの眼を見てハッキリと答える。


「問題ございません。責任は彼らにあるのは明白ですし、私を含め証人もございますので…えっと」

「あぁ俺はアレンと言います」

「ありがとうございます。アレン様に対し処罰等はございません、安心なさってください」

「分かりました」

「アレン様…こういってはなんですが、お強いのですね…どちらかと言えば私の方が助けていただきました。ありがとうございます」


しっかりとした受付嬢姿から一転し、はにかむ様な笑顔でアレンへとお礼を言うターニャ…最初は冷静でクールなイメージがある、できる受付嬢って感じの女性だったが、笑うと年相応の愛らしさがあった。


普段のクール系美女に魅かれる男性冒険者も多いが、たまに見せるこの笑顔にその心を動かされる冒険者も少なくなかった。

ターニャは冒険者ギルド内でもっとも人気がある職員なのだ。


「この方たちは腕はいいのですが、なにかと素行が悪く…何度か注意を受け、最近では大人しくしていたんですが…」


ターニャの話では、絡んできた男たちはCランク冒険者でそれなりの強さをもっていたらしい、しかし素行が悪く、他の冒険者とのいさかいや女性関係のトラブルなども多かったらしい。

最近ではなにかとターニャに絡み、ギルドから注意を受けていたようだ。


「なるほど…酔っていたのと、新顔の俺がターニャさんと話していたことに我慢できなくなってケンカを売ってきたわけですか…まぁターニャさんは綺麗な方ですし、人気がありそうですもんね」

「…ふぇ?あ、あの…その…あ、ありがとうございます」


アレンの思わぬ褒め言葉に不意を突かれ、顔を赤くしながら小さな声でお礼を言うターニャ…言い寄る男は多いが、下心なしで綺麗だと言われることなど皆無に等しい。

アレンの下心の無い褒め言葉に思わず照れてしまったのだ。


「あ、話の続きなんですが…冒険者登録をお願いします」

「わ、わかりました!その前にそちらの方々を片付けますね…」


そう言ってギルドの職員を呼び、昏倒している4人は引きずられていった…外に。


「…外に、なんですね」

「外で十分です。さて、冒険者登録ですね!ではこちらの用紙にお名前、得意な武器や得意な事…それと魔法が使える場合には任意でいいので、魔法の属性の記入をお願いいたします」


外で十分…その言葉を言い放ったターニャの眼は光が無く、能面のような表情だったが…アレンの冒険者登録の話に戻るとともに表情も笑顔へと変わっていた。


「得意な武器や得意な事…ですか」

「はい、のちほど冒険者ランクについて説明いたしますが…ランクが上がれば上がるほど、ギルドからその方へ直接、仕事の依頼をお願いすることがございます。その時にその冒険者がなにができるのかを把握しておくためのものになります」

「…なるほど」


そう言われたアレンは登録用紙の項目を埋めていく。

ちなみに文字は両親に習ったので書けないということはない。


名前

 ・アレン


得意項目

 ・双剣、採取


使用魔法

 ・土、火、水、風、氷、結界魔法、空間魔法


バカ正直に記入を終えたアレンはそれをターニャへと渡す。


「書き終わりました」

「はい、ありがとうございます………はい?」


渡された用紙を読んだターニャは変な声を上げ固まった。

それはそうだろう…得意項目の双剣や採取は問題ない、他にもこの2つを書く冒険者はいる。

問題は魔法の項目だ…使用できる魔法属性が基本四属性に加え、氷と結界魔法、そして空間魔法である。普通、1人が使用できる魔法は多くても2つだ、人それぞれには魔法との相性があり、相性が悪い魔法を使用することはできないのだ。


しばらく固まっていたターニャが再起動する。


「…アレン様、この記載に間違いはございませんか?もし強がりなどで誤った記入をされる場合にはのちほど苦労されるのはアレン様本人となりますが…」


遠回しに、間違って記載してませんかぁ~?今ならまだ間に合いますよ~?と訴えてくるターニャであったが…


「ええ、問題ありません、それでお願いします」


その願いはアレンの笑顔と共にぶった切られた。

口と目を開けたまま再度固まるターニャ…受付嬢の仕事に就いて以来、ここまで破天荒な記載を見たことはなかった…。


「あのー…ターニャさん?」

「はっ!…しょ、少々お待ちください!」


そう言ってすぐさま建物の奥へと走って行った。

少しすると、1人の男性を連れて戻ってくる。

背はそれなりに高いが、少し猫背で髪はぼさぼさ…髭も剃っていないんだろう、ところどころ伸び…これでボロキレを着ていたら乞食か、盗賊に見えるだろう。


「あー…お前か、こんな記載した奴は…たまにいるんだよなぁ~!無駄に大きく自分を見せようとするやつ」

「あの…あなたは?」


アレンの顔を見るやいなや悪態をつくその男。


「俺か?俺はこの冒険者ギルドの責任者だ。まぁそんなことはいい…ちゃんと記載し直せ、こんなんじゃ登録できるわけねーだろ」

「…と言いましても、事実を書いただけなんですが」

「あん?じゃあなんだ?お前は双剣振り回しながら、基本魔法属性4つに加え、特異属性の氷と、結界まで使って、さらには空間魔法まで使えるって言ってんのか…本気で?」

「えぇ…まぁそうなりますね」

「ブ…アハハハハハハハハハ!!ここまで来ると笑えてくるなお前!今までここまで大見得切ったやつはいなかったぞ」


アレンの答えに眠そうに、だるそうに対応していた男が爆笑し始めた。

どうやらアレンの言葉は信じてもらえなかったようだ…。

その時、責任者の男に遅れ、後ろからターニャが顔を出す。


「エリックさん!丁寧な対応をと!お願いしたじゃありませんか!」


どうやら責任者の男、エリックの対応について腹が立っているようだった。


「あーいいっていいって…こう言う輩は一回痛い目見ないとわかんないんだよ」

「ちゃんと話を聞いてください!」

「はいはい、じゃ…とりあえず登録にあたって模擬戦でもしてもらおうか」

「模擬戦?そんな手続きはありませんよ!」

「このまま登録することなんてできるわけないでしょ…ってことで今からここにいる誰かと模擬戦してもらおうか」

「…構いませんよ」


エリックの一言でいきなりだが、模擬戦をすることになってしまったようだ。

どうやら模擬戦をさせてアレンの嘘(だと思っている)を暴こうというつもりらしい。


エリックはギルド内にいる冒険者に視線をやり、声を張り上げる。


「おい!誰かこいつと模擬戦をしてやってくれ!」

「……」

「……」

「……」

「…あん?なんで誰もやろうとしない?」


エリックの申し出に立候補する冒険者は…いなかった。

ギルド内にいる冒険者は先ほどのアレンと4人の男のやり取りを見ている…魔法の真偽はともかく、アレンの強さをしっかり見ているからだ。


「ちっ…なんだってんだ…こういうのに乗り気なカマセもいねーし」


エリックの言うカマセとは先ほど真っ先にアレンにノされた男である。

今は仲間と共に仲良くギルドの外でお寝んねしているが、そのことをエリックは知らない。


エリックの言葉に誰も立候補がなく、この話が終わるかと思いきや…1人の声がギルドに響き渡った。


「アタシがやるわん」


…誰であろうこの人は、アレンがギルドに入ってきたときに「あら、いいオ・ト・コ」と熱い視線を送っていたガチムチマッチョのオカマさんだ。


ここにギルド内模擬戦…アレンvsガチムチマッチョオカマさんの対戦カードが決定した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ