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天然砦での防衛


アレンが女王蟻を倒すために天然の砦を飛び出した後…アレンが張っていった結界の効果と、アレン自身が兵隊蟻を引きつれながら戦闘を行っていたため、アリスたちの居場所がバレたのはしばらくしてからだった。


しかし、一度居場所がバレたあとは次から次へと蟻どもがアリスたちに群がっていた。


「【暴風牙突(ぼうふうがとつ)】っ!!」」


ズガァァーーン!!


防衛の先頭に立っているのはアリスだ。

風魔法と己自身の剣の腕を存分に発揮し、唯一の入り口から雪崩をうって攻め込んでくる蟻を一匹残らず切り捨てている。


「…やはりいつもより威力が高い、アレンの魔法のおかげか、これならばしばらく耐えれる…」


アリスの【暴風牙突(ぼうふうがとつ)】で先頭の蟻はもちろん、2匹目、3匹目、4匹目と後ろに続く蟻にまで攻撃が通り、一気に複数を倒すことができていた。

もちろん、これはアリス自身の技量も大きく関わっていたが、その強さを大きく押し上げているのがアレンの魔法だった。


アリスの武技は言うなれば魔法剣…魔法と剣の同時攻撃である。

鉄でも切れるようになる切れ味増加の魔法、斬鉄…そして魔力が上昇し魔法攻撃力が上がる魔法、賢魔…この2つが2重で効果を発揮し、アリスの武技を格段に上げる原因となっていた。


「はぁーーーー!!!」


ザンッ!!


「ギギギッ…ギ」


アリスの後方ではダリウスが1匹の蟻に対して大剣を振り下ろし、その頭を縦に割っていた。

ダリウスの役目は、抑えきれずに抜け出してきた蟻の対処だ。

いくら入り口は1つとはいえ、大群…しかも平気で仲間の死骸を踏み潰し、あるいは邪魔になっている死骸を引っ張り出して押し寄せてくる。

どうしても仲間の体を盾にするようにして、すり抜けてくる個体がいるのだ。


ダリウスが武技を使わず、己の技量のみで戦っているのは後ほどアリスと立ち位置を交換し、最前線に立つための温存だ。

いくら無類の強さを誇る騎士団団長で、付与魔法を重ね掛けされていても戦い続ければ疲弊する。

その時の交代要員としてダリウスは後方に控えているのだ。


他の騎士もそれぞれの役割を全力で全うしている。

エイミーだけは唯一、回復魔法を使用できるので最奥で1人と護衛と共に待機している。

しかし、他の騎士は魔法の腕に個人の差はあるが、全員…遠距離、または中距離攻撃魔法を習得していた。

それぞれが各々で判断で攻撃しやすい高さの岩棚に上り、砦の外で群がっている蟻どもに攻撃魔法を撃ち込んでいた。


「水の槍となりて、我が敵の頭上より雨のごとく降り注ぎ、貫けっ!【ウォーター・ランス・レイン】!」


ガガガガガッ!!


「「「「「ギギギギギッギ!?」」」」」


大気中の水分が集まり、水の槍を形どる…その大きさは実際の槍とそう変わらない大きさ…それが数十本現れ、固まっている蟻どもの頭上から降り注ぎその命を奪っていく。


「…はは…すごいな、普通は槍自体もっと細い上にこんな数を創ることなんて不可能なのに…アレンさんの魔法のおかげか…よしっ!!」


魔法を放った本人である騎士の1人、グレグは自分が放った魔法に驚いていた。

グレグは前衛もこなすが、どちらかと言うと魔法の方が得意の騎士である。しかし、訓練などで同じ魔法を放っても槍の大きさは矢より少し大きい程度…創れる数も数本がいいところであった。

アレンの付与魔法のおかげだとわかっているグレグだったが、それでも高揚せずにはいられなかった。




「炎よ!爆ぜよ!周りを紅蓮に染め上げ、敵を焼き尽くせっ!【フレイム・エクスプロ―ジョン】っ!」


ゴウッ!…ボオォォォ―――――ンッ!!!


「「「「「ギ、ギギ…ギ…」」」」」


蟻どもの上空で渦を巻き、次第に丸くなっていった炎の塊が紅く光り、そのまま勢いをつけて落下していった。

隙間なく攻め込んでくる蟻の中心へと落ちていく紅蓮の塊…地面へと接触すると灼熱の炎と熱風が広範囲へ広がり、かなりの数の蟻が黒焦げになった。まだ動いている個体もいるが、虫の息なのは目に見えていた。


「さすがはアレンさんですね。ここまで魔法の威力が上がるとは…これが終わったら一手御指南していただきたいですね」


自分が放った魔法の跡を見ながら呟くのは、捜索隊の中で一番魔法の扱いに長けた騎士、レイモンドであった。捜索隊とアレンの誤解からくる戦闘で一番最初にエイミーと共に気絶させられたが、レイモンド自身は恨みなどもなく…むしろアレンの使う魔法に興味津々であった。

アレンの付与魔法の効果を実感しながら、どうやって指南してもらおうかと考え、次の魔法の詠唱を始めるレイモンドであった。




「風よ!円の刃となりて、敵を切り裂き、なぎ倒せ!【エアロ・スラッシュ】!」


キィーーン…ザザザザザザンッ!!


「「「「「ギギギギ!…ギギ」」」」」


風が流れ…円を描くようにまとまっていく。そよ風が強風に、強風が暴風になりどんどん風の流れも速くなっていく、そのうち甲高い音が鳴り響き…風の刃の塊が蟻に向かって飛んでいく。

鋭い円刃と化した風の魔法が次々に蟻を切り裂いていく。

ウィンド・スラッシュとは違い、込められた魔力が尽きるまで円刃が動き回り敵を切り裂く魔法、エアロ・スマッシュ、その魔法を放ったのはグレグ同様、魔法のほうが得意な男…無表情な騎士、ギルだ。

ギルが得意な魔法は風魔法だったが、やはりいつもはここまでの威力が出ることはなく…無表情ながらも驚いていた。


「…こんなに風の円が大きく…すごい、アレンさん、すごい…」


普段は常に無表情を貫いているギルが自分の放った魔法に驚き、そしてアレンのすごさを改めて知り興奮していた。ギルのアレンに対する感情はもはや崇拝に近いものになっていた。

何に対しても無感情だったギルは、己の感情に驚きながらも次々に蟻どもに魔法を撃ち込んでいった。


アレンがいなくともアレンの付与魔法で底上げされ、次々と蟻を駆逐していく騎士団の面々は、アレンの凄さを改めて実感しながら全力でグラトニー・アントの暴走にあらがうのだった。



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