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蟻の巣は…


「みなさん、できうる限りの準備をしてください!アリスを助けた際に回収した騎士団の装備もすべてここに置いていきます!」

「アレン殿!助かる!総員!鎧に着替えろ!」

「「「はっ!」」」


ダリウスさんたちは騎士団の鎧を着ていない…理由は魔族たちとのできごとだったようだ。バレないようにアリスの捜索をする際に、念には念をいれて騎士の鎧は着ずに捜索をすることにしたらしい。

騎士団の鎧の代わりに皮の鎧などを来て冒険者を装っていた。

今回、それがあだになった訳だが俺が回収しておいた騎士の装備が人数分以上にあったため、それを返す形でみんなに配る。

おそらく剣も途中でダメになるだろう…剣も回収した分すべてを空間魔法から出し、砦の中央へと置いていく。


「…みなさん、鎧に着替えたら並んでください」

「どうしたのだ?」

「一応みなさんの装備に強化魔法を施していきます!」

「そんなことが…よ、よし!みなアレン殿の前に並べ!急げ!」


着替え終わった人からこらちに駆けてくる。

全員が集まると俺は急いで魔法をかけていく。


「【全体付与・斬鉄(ざんてつ)靭刃(じんば)不屈(ふくつ)頑健(がんけん)疾駆(しっく)賢魔(けんま)】!!!」

「「なっ!?」」

「付与魔法の重ね掛けっ!?」

「ウソでしょ…」


斬鉄(ざんてつ)…剣の切れ味が増し、鉄でも両断できるようになる。

靭刃(じんば)…武器、主に剣類の強度が増し、折れにくく刃こぼれしづらくなる。

不屈(ふくつ)…精神が向上し、敵を恐れなくなる。

頑健(がんけん)…身体、鎧系装備の強度が上がる。

疾駆(しっく)…移動速度が上昇する。

賢魔(けんま)…魔力が上昇、魔法攻撃等の威力が上がる。



「当分は効果が続きます、それと…アリス」

「な、なんだ?」


いきなり付与魔法を重ね掛けされ戸惑っているアリスにアレンが声をかけた。


「いろいろあって渡し忘れてたんだけど…これを」

「これは…首飾り?」


そう言って1つの首飾りを取り出し、アリスに渡す。

以前、アリスのためにお守りを作ろうと思って材料を採取し作っておいたものだ。


「【聖花(せいか)の首飾り】って言う…まぁなんだ…一種のお守りだ。装備者の魔力を吸って、その身に危険が及んだ時に自動で障壁を張ってくれる…これをつけておいてくれ」

「アレン…ありがとう、大切に使わせてもらおう」


そう言ってほほ笑むアリスを見て、作ってよかったと心から思った。

すぐに首飾りを首にかけるアリス。


「ふふ…下手すると国宝級のお守りを渡されてしまったな!この状況じゃなかったらいろいろ詳しく聞くのだが…それは後にしよう!」

「ああ!こっちは任せるぞ、アリス」

「任せろ!!アレンはこちらに気兼ねなく女王蟻を倒してくるといい!総員!配置につけ!入り口を抜かれれば負ける!入り口で敵を防ぎつつ、岩棚の上から魔法で数を減らせっ!!」

「「「はっ!!!」」」


アリスの号令のもと、各自が配置につく…物理的に攻撃力のあるアリスとダリウスさんが先頭にたち、他の人たちでカバーする形のようだ。数人…魔法攻撃が得意な者が高い場所にあがり、攻撃魔法を上から叩き込むようだ。


…あとはアリスたちの力量次第だ、信じるしかない。

そう思い、砦から出ようとする俺に声がかかる。


「アレン!…はやく終わらせて夕食にしよう!なにか美味いものを採ってきてくれ!」


アリスの言葉に一瞬呆けた…だがすぐに笑いに変わってしまった。


「ははは!あぁ!任せとけ!美味いもん食わしてやるよ!行こう…コハク」

「ウォウッ!!」


そう言ってアレンはコハクと共に砦を出た。



アレンは砦を出てからあえて気配は消さずに移動していた。

蟻たちをできるだけ引き付けるためだった。

すでに数匹と接敵し、すべて切り伏せて走り続けていた。


「まずは巣を探さないとな…コハク、匂いで分からないか?」

「ウゥ…」


コハクが分からないとばかりに首を振る。

おそらく、蟻の数が多すぎて匂いをたどれないんだろう。


「仕方ない…一度高い場所に上ろう!」


巣の位置を見つけるため、アレンとコハクは切り立った絶壁の天辺へと登っていく。

グラトニー・アントの巣は、その巣の女王蟻によって場所や形が違う…地中に巣を掘る場合もあれば、土を盛って塔にような形にする時もある…。


アレンはまず樹の…森の上を見る。


特に変わったものはない…塔をたてている様子はないか…となると残りは地中か。

絶壁の上から森全域を見渡す…その時でさえ、アレンにはグラトニー・アントの兵隊蟻が近づいている。

あまりの絶壁にさすがの蟻たちも登るのが厳しいようだった…それでも登ってくる個体はいるがすべてコハクによって叩き落されていた。


蟻の対処はコハクに任せ、巣を見つけることに集中する…どこかしらに違和感があるはず…そう確信しながら森を見続けるアレン。


「……!!あれか!!!コハク!!」


アレンが見つけたの大昔に折れたのであろう、巨大な切株…その根元だった。相当な年月がたったのであろう…その切株からは草木が生い茂っている。一見ちょっとした山に見えるほどだ。

その切株の根元に無数の穴が開き…そこから大量の蟻が出入りしていた。


巣の位置を確認したアレンは両手に剣を構え、コハクと共に絶壁の山を落ちるように下る。

そのままの勢いですれ違う兵隊蟻はすべて切り伏せていく…生半可な攻撃は弾かれる上、足を切っても平気で動く蟻に対して、的確に…最小限の動きで首を落としていく。


蟻の巣まで最短で駆けるアレンのあとには首を落とされた大量の蟻の死骸が道を作っていた。





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