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誘い


「わたしと一緒に帝国にこないか?」


アリスの口から出た言葉はまったく予想していなかった。


「…俺が…ですか?」

「そうだ」

「…専属料理人の話は一度お断りしましたが…」

「そ、それも魅力的ではあるが!…わたしはアレンにそばにいて欲しい、そう思ったからだ」

「それって…」


アリスの言葉に胸が高鳴ったアレン…やはりエイミーさんに言われた時より自分の鼓動が大きく聞こえる。


「か、勘違いしないでもらいたい!わたしと結婚しろと言ってるわけではないっ!アレンの強さや魔獣、植物に関する知識が欲しいのだ!け、けっして離れるのが嫌だとかそういった理由じゃないからな!」

「…アリーシャ様、最後の方が早口過ぎて誰も聞き取れなかったのですが…」

「う、うるさいぞ!ダリウス!聞かんでいいっ!」

「は、はっ!」


そうか…俺の強さや知識が…アリスの役に立つのだろうか

森しか知らないアレンは、アリスの力になりたい気持ちと…森をでることへの不安で自分自身気持ちを整理できずにいた。


「…俺はこの森で生きてきました…帝国へ付いて行ったとしてどうやって生きていいか分かりません」

「そんなもの、アレンの力があればどうとでもなる!騎士団に入って貰うのが一番だと思っているが…冒険者という手もあるぞ」

「冒険者?」

「あぁ、まぁ簡単に言うと依頼を受けて、その依頼を達成しお金をもらって生活している人の事だな、薬草の採取から魔獣の討伐、護衛なんかが仕事内容になる」

「ふむ、それなら俺でもやれるかな…」


冒険者…難しいことはできなくても魔獣討伐くらいならできるかもしれない。


「き、騎士だっていいものだぞ!ほとんど集団行動になり、いろいろと決まりごとは多いが、安定した生活が送れる!…今回のわたしのような場合はごくごく、非常に稀なことだ!!」


アリスの言葉に思わず笑ってしまう。確かにアリスは安定とは程遠い生活をここ数日過ごしているな。


「…どうだろうか、わたしと共に来てくれないか?」

「……。」


そう言いながらこちらを不安げに見てくるアリス。

…正直、俺は迷っている、今までの生活に不満があるわけではない。危険だがずっとこの森で暮らしてきた…その森を離れ、知らぬ地で生活をする不安はある。

しかし、この森から出てみたいという気持ちがあるのも事実だ…アリスと出会い、ダリウスさん達と出会い…短いながらいろいろな経験ができ楽しかった。アリスについていけばもっと楽しいことが待っているかもしれない。

そしてなにより…。


俺はアリスの顔を見る。


…このままこの人と離れてしまうのはどうしても寂しく感じてしまうな。


俺は立ち上がり、アリスの目の前に立ちアリスの眼を見つめる。


「…分からないことがあったら今度はアリスが俺に教えてくれよ、それが条件だ」

「!!あぁ!なんでも聞いてくれ!全力でアレンのフォローをさせてもらうぞ!!」


2人は笑顔でお互いの手を握り合った。

アレンがアリスに付いて森を出ることが決まった瞬間であった。






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