飯テロと酒
明日更新予定でしたが、今日間に合いましたので更新します。
アレンに火起こしを任され…他の団員からは避けられていたスタンが無事に火を起こすことに成功した。
…勇気をもって火をつけるのに結構な時間を要したため、火を起こしてすぐにアレンが作った夕食となり、みなで火を囲んで食べていた。
「うまっ!うまっ!うまっーーーー!!!」
「マグマグマグマグッ!!!」
「ガツガツガツガツッ!!!」
「お、美味しいぃーー!?」
うんうん、みんなの口に合って良かった。しかしいっぱい食べるなぁ…さすが体を動かすことが仕事の騎士のみなさんだ。…それにしてもだいぶ慌てて食べているような…よっぽどお腹が空いていたのかな?
「うん、相変わらずアレンの作るご飯は絶品だな、今回はわたしも食べたことがないのが多くて嬉しいぞ」
「確かに…この森でこれほど美味な食事を取れるとは思いませんでした。アレン殿、感謝いたします」
アリスとダリウスさんは他の人たちとは互い落ち着いて食べている。美味しいと言ってもらえるとすごく嬉しい気持ちになるな~。
「みなさん、よほどお腹が空いてたんですね。こんな森の山菜なんかで申し訳ないですが、お口に合ってよかったです」
「…お腹もそうだと思うが、みなの食欲の原因は料理のうまさだぞ」
アリスがそう言ってくれるが、おそらくお世辞だろう…普通はもっと美味しいものを食べているに違いない。
「あ、お酒もありますが…飲みますか?」
「う…む、しかし一応職務中の身であってな」
「ダ、ダリウス様!そんなこと言わずに!い、一杯だけでいいんです!」
「お酒…この料理にお酒が欲しい…」
「…お前ら、職務中だと言っているだろうが」
ダリウスの言葉に口々にお酒を飲ませてくれと言う団員達…ダリウスさんの顔がだんだんと鬼のように…。
「まぁいいじゃないか、ダリウス。アレンが張ってくれた結界だってあるんだ…今日くらいは許可してやれ」
「…アリーシャ様が言うのであればいいでしょう」
「やったぁー!!ありがとうございます!アリーシャ様!!」
「一生付いていきます!!」
あまりにも現金な団員たちにさすがのアリスも苦笑いしている…ダリウスさんは…青筋がはっきりと浮かんでいた。
「果実酒がほとんどなんですが…俺のおすすめはこれですね、ちょっと度数が高いので弱い人は気をつけてください」
そう言って小さな器に透明の液体を入れ、配る。
「これは…透明なのに芳醇な香り…呑む前から美味いと言う刺激が脳に…」
「むぅ…ここまで澄んだ色の酒は見たことがない…見た目はまるで水…しかし香りが素晴らしい」
「アレン、この酒はアレンが創ったのか?名はあるのか?」
そう、アリスに聞かれるが、飲んでほしいので説明は後にしよう…それほどに美味い酒なのだ。
「まぁまぁ、話は呑みながらで…とりあえず一口どうぞ、美味いですよ」
「うむ…では…ゴクッ…ツッ!!!う、美味いっ!!!」
「………はぁ~」
「なんだこれ!?こんな酒飲んだことねぇ!?」
「この見た目で芳醇な香りに濃厚な味…しかしスッキリとしていていくらでも呑めそうだ…」
ふふふ、みんな気に入ってくれたみたいだな。
「これは【天狗の酒実】からつくったお酒です」
「【天狗の酒実】?…聞いたことがないな…ちなみに天狗というとあのSランクになっている強力な魔獣だろうか?」
「ランクに関しては知りませんが、まぁその天狗で間違いないですね」
天狗の酒実…Sランクの強力な魔獣、天狗が好んで食すことから名前が付いた実。堅い殻に守られたその中身には芳醇な酒が詰まっている。殻を破ることも困難だが、酒自体がアルコール度数が強すぎることもあり、人体には毒である。ちなみに天狗はこの実を簡単に砕き、中身を一気飲みする。
「まぁそのままでは呑めないので、【ブナンの浄水】で薄め、人間にもちょうどいいように調整してあります。【天狗の酒実】そのものがなかなか見つからないので結構貴重じゃないかな」
「いや…貴重どころではないと思うが…見たことも聞いたこともない」
「…これを売りに出したら一攫千金を狙えますよ」
珍しいものだけど、こんなお酒で一攫千金なんて大げさな。
その後も料理の事や俺のこと、騎士の話をしながら賑やかな夕食となった。
誰かと喋りながら食べる夕食…こんな楽しいことが俺に訪れるなんて夢にも思っていなかったなぁ。
アリスのおかげだな…本当に…俺にとっては女神様みたいだ。
そう思いながら、たき火に照らされたアリスの笑顔を横目に見て、自然と笑顔になるアレンだった。




