騎士団の人たちと仲良くなった
鋼牙猪を倒し、コハクが狩ってきた獲物を収納したアレンとコハクは暗くなる前に家へと帰ってくることができた。
自身が張った結界を通り、家の前にいる騎士たちへと声をかける。
「ただいま帰りました」
「ウォフッ!」
「ああ、アレン君、おかえりなさい。食糧は採れましたか?」
騎士の1人であるマークと呼ばれた30歳くらいの短髪の男性が返事を返してくれる。
若いランディなどはいまだにコハクを怖がっているようだった…目線が合うとものすごい速さでそらされるが、怖がられているのはコハクだと信じたい。
「えぇ、とりあえず2,3日分の食料にはなるでしょう、もちろんみなさんの分もありますよ」
「ほんとですか!よかった!!非常食にも慣れてるけど、やはりちゃんとした物が食べられるならそっちの方が嬉しいです!、あ!僕はスタン!スタン・ヴィノカーです!よろしく!!」
「アレンです。前衛で盾持ちの方ですね?ギガントラットの突撃を防ぎ切ったのは見事でしたよ」
そう言って握手をする2人。
どうやらスタン君は人懐っこいようだ。
「えっ!なんで知ってるんですか!?」
「あぁ、俺はあの時近くでこっそり戦いを見ていたんですよ」
「…ほんとですか!?うわっ!まったく気づきませんでした!」
「…まじか…気配なんてまったくしなかったぞ…お前、なにか違和感とかあったか?」
「いや、まったく…すさまじい隠密力だ」
見ていたことを告げると、他の騎士の方々が仲間うちでぼそぼそっと喋っている…なにかおかしな事でもあったのだろうか?
「とりあえず、夕食にしましょう。いま作るのでみなさん待っていてくださいね」
「あ!僕も手伝いますよ!アレンさん!」
「あー…いえ、今回は俺1人でやります、スタン君も疲れているでしょうからゆっくり待っていてください」
「わかりました、なんかすいません…あ、あとアレンさん、ここって火を焚いても大丈夫なんでしょうか?魔獣とか寄って来たりしませんか?」
「ここはコハクの縄張りですから、ほとんどの魔獣は寄ってきませんよ。それに、今は念のために【魔除けの結界】も張ってあります。火を焚いても問題ありませんよ」
「この結界、【魔除けの結界】っていうんですか…こんな魔法を使えるなんてアレンさんはすごいですね」
「いえ、たいしたことありませんよ、普通の結界ですよ」
そう言うと騎士団の人たちの顔が引きつったように見えた。なにか変だったのだろうか?
「あ、火を起こすならこれを使ってください。すぐに火が起きます」
そう言ってスタン君に1本の少し太めの白い枝を渡す。
「…この枝はいったいなんですか?」
「【アブラカンバ】と言う樹ですごく燃えやすく、長時間燃え続けてくれる樹ですよ。これ一本で朝まで燃えますので追加で薪を足す必要はありません」
「そ、そんな便利な樹があるんですか!?」
あれ、みんな知らないのかな?小さなころからこれで火起こししてきたんだけど…
「少なくともこの森には普通に自生していますよ。間違った方法で伐採すると大爆発しますが…」
「えっ…なにか今すごく不吉なワードが聞こえたんですが…だ、大丈夫なんですよね?」
「火起こしはスタン君に任せますね!では!」
「あ、ちょっと!アレンさん!…な、なんでみんな僕から離れるんですか?え?火起こしを任されたのはお前だ?お前が責任を持って完遂しろ?がんばれ盾役? そ、そんなぁ~!!?…アレンさん!カンバァァァ―――――ックッ!!!」
後ろからスタン君の慟哭が聞こえたような気がしたけど…きっと気のせいだね。




