ご飯が…ないよ
「癒しの光よ!この者を癒せ!【ヒール・ライト】」
エイミーが唱える回復魔法によってアリスの傷が…一番深かった脇腹の傷がふさがっていく。
「ふぅ…これで傷は大丈夫です!団長!!」
「ありがとうエイミー、回復魔法が使えるあなたがいてよかった」
そうエイミーに対して微笑むアリス。
「い、いえ…でもまだ激しく動かないでくださいね!傷が深かったので完全に治るには少し時間がかかります!」
「うーん、けっこう大丈夫な気がするんだがな」
「「だめ「です!」「だ」」
エイミーと俺の声が被り…お互いに相手見る。
回復魔法を使うこの子と意見があったということはアリスを動かすのはやはり早いのだろう。
「わかった、わかった…エイミーもアレンも過保護だなぁ」
降参とばかりに両手をあげて笑いながらアリスが言う。
「ふむ…体を治すには食事が大切だが…我々の食糧は非常食がほとんどだ、アレン殿、なにか栄養がある食べ物はあるかな?」
「あるにはあるんですが…さすがに10人を超える食糧は無いですね、なにかしら食糧を取ってくるしかないでしょう」
ダリウスさんに聞かれ答える。
そう言えばダリウスさんの呼び方が、お前からいつのまにかアレン殿の変わっていた。
「そうか…では我々がなにかしら取ってこよう」
「…いえ、みなさんはこれまでの戦闘で疲弊しているでしょう?この森に慣れている俺が行ってきますよ、ダリウスさんたちはここでアリスを守りながらゆっくりしてください
「たしかにアレン殿の方がここには慣れているが、さすがに1人で行かせるのは申し訳ないんだが…」
「気にしないでください、それに1人ではありませんので…コハク」
「ウォウゥッ!!」
コハクの名を呼ぶとアリスの影から出てくる。
「なにっ!?魔獣!?」
「きゃっ!!!」
「ダリウス様!どうしました!?うおぉ!??」
いりなりアリスの影から出てきた大きな狼に驚く騎士団の面々、エイミーの悲鳴に建物の外で待機していた人たちも入ってくる。
さすがにこのままでは攻撃されかねないので説明する。
「みなさん落ち着いてください、この子は敵ではありません。俺の家族でコハクと言います」
「ウォウ!!グルルルルルル…!!」
「コハクも威嚇しないの…アリスの仲間たちだよ」
「…ワフッ」
俺の言ったことが通じたんだろう、毛を逆立てていたコハクが大人しくなる。
「…相当強い魔獣だな、いったいどうやって」
「まぁ…いろいろありまして」
説明がめんどくさかったので誤魔化す。
「あっはっはっはっは!!お前らの驚いた顔!!あっはっは!あー面白い!!…いたたた!わ、脇腹が…」
「…笑いすぎですよアリーシャ様」
ダリウスたちの驚きようを見て爆笑するアリス…笑いすぎて治りかけの脇腹がいたんだろう、うずくまっている。
「とにかく、俺とコハクで食糧調達してくるのでみなさんはここにいてください」
「あぁ、わかった」
「アレン、気をつけてな」
「大丈夫ですよ、行ってきます」
そう言ってコハクを伴い家を出るアレン…外にいた他の騎士団の人たちがコハクを見て警戒している…若干名その怯える視線がこちらを向いているような気がするが…気のせいだろう。
一応、なにしに行くか伝えておくか…。
「これからみなさんが食べる分の食糧を取ってきますね、少し休んで待っていてください」
「あ、あぁ…すまない」
さてと…それじゃ行くか。
…そう思ったんだが、万が一にもここに魔獣がきたら危険かなと思い振り向く。
「ど、どーしました?」
騎士団の1人、たしかランディと呼ばれていた短髪の活発そうな青年が聞いてきた。
「いえ、念には念をと思いまして…」
「は?」
アレンは騎士たちがいる方向…家の方向に向かって手をかざし魔法を唱える。
「【不可視の結界】、【魔除けの結界】」
家を中心に半透明の球体が覆っていく。
よし、これで魔獣には家や人の姿は見えないし、無意識にここを避けるようになったな。
これで安心して食糧調達にいける。
「それじゃいってきます」
「…え?あ、あのちょっと…これはいったい」
「この結界から出ないでくださいね」
「は、はい…了解です…」
アレンは、混乱している騎士の人たちをそのままに森へと消えていった。




