アリスの名前
騎士団の面々を連れて家へとついたアレン。
ここに着くまでに襲ってきた魔獣はすべてアレンが1人で倒している。
「…あらためて君の強さは異常だな、1人で危なげなく魔獣を倒すとは」
「そうですか?ここに住んでると割と普通のことですよ?」
「あの、隊長…俺たち普通の定義が崩れかかってるんですが…」
団員の1人がおずおずと手を挙げて言う。
「さてと、さすがにこの人数全員は家に入れないので…ダグラスさんだけ付いて来てもらっていいですか?」
「了解した。総員、周囲を警戒しつつ休め」
「「「はっ!」」」
俺とダリウスさんだけ家へと入っていく。
「ただいま」
「おかえり!アレン!どうだった?なにか分かっ…た…か」
アリスが言い切る前に俺に続いてダリウスさんが家に入ってくる。
ダリウスさんはアリスの姿を確認するとすぐさま跪いた。
「アリーシャ様!よくぞご無事で!!第一騎士団副団長ダリウス以下10名!あなたの救助に参りました!!」
「……アリーシャ??え?」
「…………」
跪くダリウスの横でなにがなんだか分からず混乱しているアレンと…申し訳なさそうにアレンを見るアリス…アリーシャの目線が合わさった。
「ダリウス、救助ご苦労様。見ての通り私は無事です。…いろいろ話したいことがありますが少し待て」
「はっ!」
「…アレン」
「…えーっと、はい?」
名前を呼ばれ我に返るアレン。
「…わたしの本当の名前はアリーシャという…親しい人はアリスと呼ぶがな、騙していてすまない…言いだす切っ掛けを探していたんだが…言い出しづらくてな」
「あー…まぁ初対面の怪しいやつに警戒するのは当たり前だな」
「い、今は警戒なぞしていないぞ!ほ、本当だ!信じてくれ!」
「わ、分かったよ、ちゃんと信じるよ!アリス…アリーシャ?」
「ふふふ、今まで通りアリスでいい…言っただろう、親しい者はアリスと呼ぶと」
「了解だ」
2人の間に和やかな空気が流れる。
「うぉっほぉん!!」
ビクゥゥ―!!
ダリウスのわざとらしく咳をし、それにびくりとなるアレンとアリス。
「そ、それでダリウス!」
「なんでしょう、アリーシャ様」
「…先の奇襲で、何名死んだ?」
誤魔化すようにダリウスの名前を呼ぶアリスだったが…質問の内容は非常に真面目なものであった。
「…魔獣討伐の際、出兵したのが4000名…うち死者、行方不明者合わせ…1972名になります」
「ツッ!…予想はしていたが…そうか」
悲しそうに顔を下げ、悔しそうに拳を握りしめるアリス。
「アリーシャ様が禁断の森に落ちていくのを見た者がいまして…一縷の望みをかけ捜索しに参りました」
「そうか…何名で来た?」
「…3個分隊、私を含め12名です」
「12名?俺が見かけたのは10人だけでしたが…」
12名と言う数に思わず口を出してしまった…。
「…2名はこの森の魔獣の襲撃で殉職いたしました」
言いづらそうにアリスに報告するダリウスさん。
…様子を見ていた時に死んだと言っていたのは捜索に参加した団員の人のことだったのか。
その報告を聞いたアリスは歯を食いしばり、なにかに耐えようとしているようだった。
「…アリーシャ様、申し訳ないのですが至急帝国に戻っていただきたいのです。帝国ではアリーシャ様の不在は隠され、帝国で療養中ということになっておりますゆえ…」
「…詳しく話せ」
「はっ!」
アリスに言われ、今帝国がどういう状況なのか説明をし始めるのだった。




