真実の鐘
「総員!戦闘態勢!半包囲陣!!」
「「「おう!」」」
大剣を握りしめ、他の仲間に叫ぶ。
それに応え、アレンを中心に包囲陣を敷く他の面々。
みながみな、武器を構えいつでも戦闘ができる態勢をとる。
「…なぜ、俺が嘘をついたと?この鐘に関係あるんですかね」
タイミング的に、鐘が鳴ったから俺の嘘がばれた様だったので確認してみる。
「ああ、その通りだ。その鐘は【幸運の鐘】ではない…【真実の鐘】といってその鐘を持っている者が嘘をつくと鳴るようになっている」
「…なるほど、騙されたわけですか、食糧の話もこの鐘を渡すための作戦だったと」
「こんな場所だ…すべてを疑うのが当たり前なんでな」
「まさしく正論ですね、謀られました」
手に持つ鐘、【真実の鐘】を空間魔法で収納し、いつでも動けるようにする。
「さて…女性のことを知っているな、どこにいる?生きているのか?」
「あなた達は誰なんです?」
「それはお前が知る必要はない」
「…誰かも分からない相手に情報を提供するとでも?」
「ならば喋ってもらうだけだ!!ぬぅぅん!!」
ブゥォンッ!!!
大剣を振り下ろしてくる男…受け止めると周りの仲間からの追撃があると考え、後方にバク転しながら移動し躱す。
「逃がすな!マーク!ランディ!追撃しろ!」
「「了解!」」
「レイモンド、拘束魔法をいつでも撃てるようにしておけ」
「はいっ!」
「各自、警戒しつつ追いつめるぞ!油断はするな!」
「「「はいっ!」」」
次々に指示を出す大剣の男…やはりこの男が中心か。
すぐさまマークとランディと呼ばれた2人が追撃してきた。
2人とも同じような扱いやすい長さの長剣だ。
「ふっ!」
「はっ!!」
連携を取りつつ長剣を振ってくる2人…それに対しアレンは無手のまま躱すことに専念する。
「くっ!当たらんっ!」
「化け物め!」
「失礼な…」
化け物呼ばわりされて思わず言い返してしまった。
「【アース・バインド】!」
ズオォ!
「おっと!」
「ぐあっ!?」
呪文を詠唱し終え、タイミングをうかがっていたのかすぐさま土が拘束するために動き出す。
アレンは捕まるまいと近接戦闘をしていた1人の肩を蹴り、そのまま近くの樹の枝へと移る。
「なんと身軽な!」
「おのれ~ッ!!」
肩を蹴った男がものすごい形相で睨んでくるがこちらも命がかかっているので遠慮はなしだ。
「すいませんが、俺もこのまま捕まる訳にはいかないのでね」
「…お前のその強さ、本当に人間か?やはり魔獣の類か?」
「本当に失礼な…ごく普通の人間ですよ」
「…普通の人間がここまで我らの攻撃を躱せるとは思えないんだがな」
大剣の男がそう言うが、俺はこの森に住むごく普通の人間だ…魔獣だなんて失礼なんだろうか、それかこの人たちはみんなして目が悪いのだろうか?人間に見えていないとか?
「…1つ提案があります」
「言ってみろ」
「ここから出ていってもらえませんか?あなた達は誰にも会っていない…そういう事にしてもらえませんか?」
「…それはできん、ようやく見つけた手掛かりだ…何が何でも教えてもらうぞっ!【裂空】!」
「あぶっ!?チィ…聞いちゃくれないか」
大剣を振りぬくと真空派の要領で刃が飛んできた、距離があったから油断した…ちょっと危なかった。
後方に倒れるようにして回避し、地上に着地する。
「仕方ないな…じゃ強制的に退場してもらいますか」
「やってみるがいい…」
アレンは空間魔法で剣を1本取り出し、目の前の男に向けて構えるのだった。




