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愛のしわ
陽だまりのなかでくすぐりあった日々
髪の毛のにおいを嗅ぎあって
腹を抱えるほど冗談を言い合った
清澄であざやかな星の降る夜
ぼやぼやしながらパンを食べて
一緒にコーヒーをすすったあくびの朝
些細なことですれ違い
プンプンして歩いて走った春夏秋冬
違いを認め合い
違いを心底から尊び合って
感動の涙を流し、仲直りをした
あの静寂な黄昏時
やわらかくて温かで
可憐なダイヤモンドの手を繋いで
きみのなかにぼくが
ぼくのなかにきみがいる日々
僕たち二人は
やがて愛と光のシワが増えていき
おじいちゃんとおばあちゃんになる
そして、おじいちゃんとおばあちゃんになって
裸の心になって、あの世に還っていく
神様とみんなの音楽が響いている
あの世に還っていく
あの世の草原や七色の花畑
きらめく水晶の川
黄金の泉
神様の白い太陽のなかで
過ごしていくときも
二人の心のなかはあの日のまま
素直で法悦で
オプティミズムな
あの日のまま
アルファとオメガの
輝きのなかの輝きのまま
はじまりもおわりもない
永遠よりも永遠のまま




