61/191
鳳凰
ぼくは天使のラッパによって
41度の高熱が出ていた
意識が朦朧として
様々な蜃気楼が訪れたあと
気付いたら、眠りに就いていた
夢のなかで
夢のなかで
ぼくは泉のほとりにいた
それからまもなくすると
ここかしこから
ハープのような美しい
音色が聴こえきて
あたり一面を透きとおった
エメラルドグリーンに染めていきながら
鳳凰が舞い降りてきた
ぼくは、そのとき
鳳凰のまえで
ただ、ただ呆然と立ち尽くしていた
それから、あの黄金のよだれが
口元を垂らしたあと
ぼくは、目が覚めた
鳳凰の馥郁たる馨りが
部屋全体を包み込んでいて
それから部屋にあるものは
どれもこれも
ひとすじの光の柱が立っているように見えた
しかも目を瞑るとその力は強くなり
目を開けるとその力は弱くなった
あらゆる事柄がいたずらなほど
自由闊達な
光の素粒子に
埋め尽くされていた
母や姉に、その夢のことを知らせると
口をそろえて、こう言われた。
「まお、本当に命が危なかったわね」
そのとき、ぼくはふと
あっけらかんとなって
等価交換という言葉が頭をよぎった
それと、小さい頃に道端で見た
七色の鳥を




