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風
遠い国から吹いてきたこの風は
いつかの僕のため息かも知れない
今ではその風が
そっと僕の心の羽根を広げてくれる
あの頃に分からなかったことが
今ではほんの少しだけ
感じられるようになった
ほんの少しだけ
ほんの少しだけ
僕はこのほんの少しだけを
大切に大切にして
時には、でんぐりがえしをしながら
育てていきたい
僕はいつでも感じていたい
あらゆる宗教宗派の枠組みや
イデオロギーを超えた
誰のもとにも流れるこの風を
ああ、この風は
なんて自由で心地よい風なのだろう
どこにだって飛んでいくことができる
僕は、頭でっかちになっていたんだ
僕の心のなかのお城に住んでいる
幼子の王様が求めていたものは
ごはんやパンよりも
もっと身近にあったんだ
今なら宇宙の反対側にだって
この風をボールみたいにして
弾ませることができるんだ




