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一声
一声が視界の全てに響いている
さーらせうさーらせうと
それは泡のなかで小さく轟いている
さーらせうさーらせうと
清らかの清らかが流れている
その一声は熱情ではない
静かに凛として、それから少しばかり空の森の音がして
しおらしく命の臓器で転がっている
転がった世界は渓流のように
そのΘ波が辺りを包み込んで癒している
癒しとはなんでしょうか?
それは、命に還っていくことと
柔和の中心より教えてくれているような気がする
手元から零れては
小川さえ創られていき
ただただ下に下に降りて
やがて岩や小石に溶け
プランクトンや藻、水草
さーらせうさーらせうと流れながら
小魚を育て、広がる海へと誘われていく
そこにカモメやトンビが飛び
そこに白雲や白月がぽんやりと浮かぶ