宇宙船にて
「ここ最近、地球に人が増え続けているらしいぞ」
全身銀膜に覆われた、いかにも宇宙人の彼は、いかにも宇宙人らしい事を口にした。
「そうなのか、なら少し間引く?」
全身金膜に覆われた、いかにも宇宙人の彼も、いかにも宇宙人らしい発想をしていた。
その流れでその隣のタコっぽい彼も発言するものだと思ったが、彼は発言しなかった。
軽く肩透かしを食らったが、そんな事は誰も気にせず会話は先に進んでいく。
「いや、すぐ消そうとしてしまうのはお前の悪い癖だ、超金。この前、皇帝様にも言われたばかりだろう」
全身金膜の彼は超金と言うらしい。それに皇帝様って、宇宙を統べている人なのかな、なんか凄そうだ。
「うっせーな、超銀。そんなお前はえらく臆病だと周りには噂になってるぞ。」やっぱ銀色の方は超銀なのね。超金の方はどうやら好戦的な性格のようだ。
その流れで、今度こそタコっぽい彼が発言するものだと思ったのだが、
彼は発言しなかった。発声器官ないのかな、いや、明らかに口はあるぞ。
そんなことは他所に、会話はまだ続いていく。
「それは思い違いだな。俺は臆病なのではなく、計算高いために慎重なんだよ、お前のような単細胞とは違う。」
超銀の方もたまらず言い返す、もっとも、臆病を良いように捉えただけとも言えなくはないが。
「そんなもん、ただの理屈だろうが。お前が臆病なのには買わんねぇ。その煩い口を早く閉じなきゃ、G光線喰らわせんぞ。」
ふむふむ、超金は頭に血が上ってしまっているな、、
って、G光線!?何だそれは!てか、Gビームじゃダメなのか、いやアレか、スペシウム光線と同じタイプか。あと、そんなヤバそうなものをこの部屋で打たれるのは不味いな、今いるのは宇宙船の一室で、四畳半程度の大きさしかない、こんな所で戦闘が始まったら俺も無事ではいられいだろう。
そんな事を思いつつ、すでに俺の思考はタコっぽい彼(面倒なのでこれからは、タコスと呼ぶ)に向いていた。この2人の会話はだんだんヒートアップしていき、2人とも冷静さを失ってきている。こういう時に一番効果的なのは第三者の仲介である。
過去の戦争にも、第三者が仲介に立ったことで、戦争が終わった例は多数存在する。
つまり、今必要なのはタコス、君だ!
そう行った希望を込めた眼差しで私はタコスを見た。
だが、彼は発言しなかった。
こいつマジか!何、なんで止めないの!アホなの!?
俺の大きな落胆を背に対話という手段では解決できないところまで、彼らの言い合いは熱を帯びていた。そんな時「「お前はどう思う」」
2人同時に俺へ意見を求めてきた。やっと俺の出番か
「くぅ〜〜ん」
俺は精一杯の愛嬌を込めた返事を彼らに返した。
彼らは俺のあまりの可愛さに目を丸くして、俺を愛でた。
察する所だと思うが、俺は犬だ。
何故、地球の犬が宇宙船の中で謎の宇宙人の謎の会話の突っ込み役をしているのかと言うと、飼い主に公園に捨てられている所を優しそうなお爺さんき拾っ貰えたのだが、なんとそのお爺さんは変装した姿で、本人は全身銀色の宇宙人、超銀だった。
気付いた時にはもう宇宙船の中で、逃げることも出来ず、そもそも帰っても住むところはないので、もういいやと観念したのだが、意外な事に彼らはちゃんと俺の世話をしてくれる。
まだ、あの金色と銀色には慣れないが
、まあそのうち慣れるだろう。
ちなみにさっき行った言葉は犬語で
「 黙れ、バカ野郎」
である。
だが、もちろん彼らにはそうは聞こえていないだろう。
まあ、さっきは僕の鶴の一声で丸く収まったが、こいつらは突っ込みどころがあまりにも多すぎるのだ。
もし、彼らへの意思疎通の手段があれば、一つ一つ突っ込みたい所だが、そうも行かないので今は心の中で突っ込んでいる。
にしても、さっきはビームいやG光線とやらを打たれる直前まで来ていたからな、本当に危ないところだった。
こんな奴らと一緒にいて本当に大丈夫なのだろうか、先行きが不安だ、、