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白神さんの八十神語り  作者: 松戸京
第六神
94/200

警告

「……なるほど。そういうことか」


 番田さんが1人で頷いている。僕はただ今一度、おかっぱ頭の女性を見ていることしかできなかった。


 この人のお爺さんは白神村の村長だった……そして、その村長こそが八十神語りを神社に行なわせてきた……


 唐突に明らかになった事実に、僕はいまいち理解が追い付いていなかった。


「へぇ。じゃあ、アンタが黒幕なわけ?」


 と、ケイさんが不躾に灰村に訊ねる。灰村は相変わらずの笑顔のままでケイさんの方を見る。


「申し訳ないのですが……私、番田さん以外のガキとお話するつもりはありません。ああ、もっとも、白神さんに選ばれたガキとはお話しますが……」


「はぁ? 何? アンタ、喧嘩売ってんの?」


 ケイさんが眉間に皺を寄せてそういう。しかし、灰村は全く動じない様子だった。


「やめるんだ。ケイ君」


 番田さんにそう言われると、ケイさんも何も言えなくなってしまったようだった。


「ふふふ。すいませんねぇ」


 まったく反省していない様子で灰村はそういう。そして、番田さんの方に顔を向けた。


「まぁ、そういうことですから。私がここに来た意味、わかりますよね?」


「……もし、アナタの言うことを拒否すれば、どうなるんだ?」


 番田さんは鋭い視線でそう言った。


 すると、灰村はキョトンとした顔で番田さんを見たが、すぐにニコニコとした気味の悪い笑顔に戻った。


「そうですねぇ……こんな寂れた喫茶店ではなんですから、私のお家でお話しませんか?」


 そう言うと、灰村は立ち上がった。番田さんはそれに続いて立ち上がる。


「……ケイさん」


 思わず僕はケイさんの名前を呼んでしまった。


 先程の件で明らかに機嫌が悪そうなケイさんは、未だに灰村の後ろ姿を睨んでいる。


「アイツの言うこと……マジだと思う」


「え?」


 ケイさんは忌々しげにそう言った。


「……アイツは……白神と同じ感じがするから」


「え……そ、そうなんだ……」


 ただ、僕としては、白神さんよりも邪悪な……なんだか嫌悪感を覚えさせるような感覚を、灰村は醸し出しているように思えた。

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