表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白神さんの八十神語り  作者: 松戸京
第一神
9/200

ウシロガミ様の話

 その少女は、とても気立てがよく、村でも評判の女の子だった。


 しかし何よりもっとも彼女の評価をあげていたのは、その長く美しい黒髪だった。


 彼女自身もその髪のことを自慢にしていたし、いつも丁寧に扱っていた。


 ある日、彼女は神社にお参りに行った。


 すると、お参りをすませると同時に、なんとなく、後ろに誰かがいるかのような感覚を覚える。


 少女は気のせいだと思ったんだが……どうにもその感覚は消えてくれない。


 仕方なく、神社から帰ろうとすると、いきなり誰かに後ろからグイッ、と髪の毛を引っ張られる感覚に襲われた。


 少女は驚いて咄嗟に後ろを振り返る……だが、もちろん、後ろには誰もいなかった。


 恐怖しながらも少女は家に帰った……しかし、家に帰ってからもなぜか背後に誰かの存在を感じてしまう。


 そして、何度も何度も少女は自分の髪が引っ張られるのを感じた……


 少女はその日、眠ることができなかった。


 なぜって、眠っていても、背中から誰かに髪の毛を引っ張られるんだ。


 それから数日間、少女はその現象に悩まされた。


 さすがに少女も辟易としてしまって、随分と窶れてしまった。


 自慢の黒髪は、先端が縮れてしまって、酷く残念なことになっていた。


 それでも、少女の髪の毛を引っ張る現象は止まない……さすがに少女は我慢できなくなって、自分の髪の毛を思いっきり切ってしまった。


 すると……どうだろう。途端に少女に対する不可思議な現象は終わった。


 少女は切った髪の毛を神社にお供えしたのだ。


 それと同時に、ピタリと少女の髪の毛は引っ張られなくなったんだ。


 ウシロガミ様も髪の毛を渡してもらって満足したんだろうね。


 それからというもの、村では年に1回、神社に若い女の子の髪の毛をお供えする風習が出来た。


 これがウシロガミ様の話。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ