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白神さんの八十神語り  作者: 松戸京
第五神
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鳥居の先

「え……な、なにこれ……」


 思わず僕はそう呟いてしまった。


 目の前にあるのは……神社だ。


 焼け跡ではない。そこにあったのは、立派な鳥居に拝殿……


 まぎれもなく神社がそこにあったのだ。


「……どういうこと?」


 怪訝そうな顔でケイさんがそう訊ねてくる。僕も意味がわからなかった。


「わ、わからないです……で、でも、僕の記憶ではここは旧白神神社で……」


 ……旧白神神社? これが?


 今僕がいる境内も綺麗に掃除されている……どう見たって、誰かがいる神社だ。


 旧ってことは昔ってことで……誰かがいるはずもない。


「……あ、あれ……じゃ、じゃあ……ここが白神神社で……」


「おい」


 僕がそう言うと、ケイさんが僕の肩を強く叩いた。朦朧としていた意識が戻ってくる。


「しっかりしてよ。ここは、旧白神神社なんでしょ? せんせーはそう言ってたよ?」


「え……で、でも……そ、そのはずなんですけど――」


「あら? どうかしましたか?」


 と、そこへ声が聞こえてきた。


 境内に突如として顕れたのは……またしても巫女服姿の女性だった。


 見た目は……僕やケイさんよりも年上そうに見える。それこそ、30半ばくらいなのだが……すごく綺麗な人だった。


 腰までかかる黒い髪……なぜだかわからないが、僕はその人を見ていると、なぜか懐かしい気分になってきた。


「……アンタ、何?」


 しかし、ケイさんはぶっきら棒にそう訊ねる。その顔は酷く機嫌悪そうだった。


「フフッ。私、ですか? 私はこの神社の巫女ですよ? お二人はお参りにきたのですか? 嬉しいです。きっと、白神様もお喜びになりますよ」


 白神様……確かに、その巫女服姿の人はそう言った。


 やはり……ここが白神神社なのだろうか?


「……あいにくだけど、アタシが訊いてんのはそういうことじゃない。アンタがどういう存在か訊いてんだけど」


 ケイさんがそう言っても、巫女服の女性はニコニコしている。そして、しばらくすると、ポンと手を叩いた。


「ああ! 私の名前ですか。私は……黒田……黒田真白と言います」

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