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白神さんの八十神語り  作者: 松戸京
第四神
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変化する周囲

 僕は……非常に気まずい気分だった。


 なぜ……こんな状況になっているのか。


 いや……というか、一体何が目的なのか……既に朝から何度となく自身で問いかけて北問が、未だに頭の中でぐるぐるしている。


 僕は恐る恐る背後を振り返ってみた。


「ん? どうしました? 賢吾」


 背後には……少し離れて、琥珀が付いてきている。


 何事もなかったかのように……さも、それが当然であるかのごとく。


 しかし、僕にとっては違和感しかなかった。


「……えっと、琥珀。一応聞くけど……いつもこうやって僕と一緒に学校に?」


 聞いているこっちとしてもなんだか変だと思ったが、それでも聞かずにはいられなかった。


 すると、琥珀はキョトンとした顔で僕のことを見る。そして、フッと小さく笑った。


「うふふ……賢吾。アナタは当たり前のことを聞くのが好きなのですね」


「……当たり前ってことは、やっぱり、そうなんだ」


 僕がそう言うと、満足そうに琥珀は頷いた。


「ええ。そうです。ずっと前から……私とアナタはこうして登校してきました。そして、同じクラスなのですから、そのまま教室に入りますね」


「……え? 同じクラス?」


 またしても新たな情報が飛び込んできた。同じクラス……いやいや。僕のクラスには琥珀みたいな女の子はいなかったはずである。


 しかし、琥珀は僕が不思議そうな顔をするのをわかっていたようで、目を細めてそのまま不敵な笑みを浮かべて歩き出す。


「行ってみればわかります。さぁ」


 そういって、僕の先を行く琥珀。僕は仕方なくその後を付いて行く。


 程なくして学校につく……しかし、学校に着いて見ても異変は続いていた。


「白神さん! おはようございます!」


 こうやって、琥珀に挨拶する生徒が後を絶たないのである。


 それこそ学校のヒロインのような人気……琥珀もその挨拶に笑顔で返す。


 でも……何かが違う。僕が探していたはずの……会いたい人はこんな学園の人気者なんかじゃなかったはずだ……


「……随分、人気者なんだね」


 思わず僕がそう言うと、当然だと言わんばかり顔で僕を見る。


 そんな琥珀は、ついに僕の教室までやってきた。琥珀は戸惑うことなくそのまま教室に入る。


 そして、琥珀はそのまま僕の隣の席に座る。


 ……いやいや。違う。そこは琥珀の席ではなかったはず……その記憶だけは僕の中に確かに存在していた。


 しかし、周りの反応は違っていた。まるでそれが当然のように、席に座った琥珀の周りに、クラスメイトが集まってくる。


「……一体何がどうなってるんだ……?」


 僕が意味もなく呟くと、琥珀はそれを聞いていたようで、ニヤリと微笑んだ。

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