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白神さんの八十神語り  作者: 松戸京
第四神
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いつの間にか

 その後、僕は家に帰ることにした。


 番田さんから聞いた話……問題だったのは、黒田さんのお爺さんの話だ。


 最初から……分かっていた。黒田さんのお爺さんは、分かっていた……


 つまり、最初から、白神さんに僕が出逢えば、紅沢神社に救援を求めること、そして、黒田さんと僕が出会うこと。


 そして、黒田さんが……僕と仲良くなることも、全部折込済みだったってことか?


「……そんな、馬鹿な」


 そもそも、一体なんでそんなことをする? 黒田さんはお爺さんにとって、大事な孫娘じゃないないのか?


 お爺さんはカガミ様の時に言っていた……孫娘までも、失うわけにはいかない、と。


「……まで、も?」


 よく考えてみたら、あのセリフ、可笑しい。


 「までも」……それじゃあ、お爺さん誰かを失ったってことか?


 いや……ちょっと待て。いつも黒田さんの家に行っていて、不思議に思っていたこと……僕が持っていて、黒田さんが持っていないもの……


「……両親。黒田さんのお父さんとお母さんだ」


 いないのだ。黒田さん自身もその話をしていない。


 そうなると、お爺さんのあの発言は、黒田さんのお父さんとお母さんに関係があることなのだろうか。


 なぜ、黒田さんにはお父さんとお母さんがいないのか……


 そして、お爺さんは本当に、黒田さんが行方不明になってしまうことまで、織り込み済みだったのだろうか。


 だったら、番田さんの言うとおり、なぜ、邪魔をしようとしたのか。黒田さんがこうなることを阻止しようとしていたのか……


「一体、どうすれば……」


 ふと、夕暮れの陽光を浴びながら、顔を上げてみる。


 恐ろしいことに、いつのまにか僕の足は、白神神社にやってきてしまっていたのだった。

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