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白神さんの八十神語り  作者: 松戸京
第三神
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重要な話

「え? 今日はお弁当いらない?」


 母さんは不思議そうな顔で僕にそう訊ねて来た。


 僕も自分で一体何を言っているのか……よくわからなかった。


「あ……うん。とにかく、いらないんだ」


「そう……まぁ、お母さんは楽だからいいけど……」


 そして、結局、その日、僕は弁当を持たずに学校に行った。


 果たして、黒田さんはどういう意図であんなことを言ったのか……未だに理解できなかった。


 学校に着いても、どうにも落ち着かなかった。あまり授業内容が頭に入らない……というのは、いつも通りであったが。


 それにしても……昨日の黒田さんは様子もおかしかった。なんだかソワソワしていたし……


 まぁ、八十神語りも後2日……落ち着かないのも理解できる。


 僕だって、また白神さんと出会ったらどんな顔をすればいいのか……それでも、八十神語りは続けなければいけないのだが。


 で、結局昼休みなった。


 僕は弁当を持っていないのでどうしようもない。かといって、購買に行くのも、直感的に不味いような気がする……


 だから、席で待ってみた。と、しばらくして、黒田さんが姿を表した。


「あ、黒田さん」


 黒田さんは……なんだか緊張しているようだった。表情も強張っているし……もしかして、また不味いことでも起きたのかもしれない。


 僕は不安になって思わず立ち上がる。


「黒田さん……また、何か?」


 すると、黒田さんはこちらに来るように、廊下から手招きしてくる。


 僕は言われるままに黒田さんの方に近寄っていった。


「え? 何? 黒田さん」


「……その、二人きりでお話したいことがあります」


 辛辣そうな表情で黒田さんはそう言った。二人きり……人には聞かれはいけない話なのだろう。


「わかった。じゃあ、行こう」


「え? よ、よろしいんですか?」


「ああ。もちろんだよ。重要な話なんでしょ?」


 僕がそう言うと、黒田さんは小さく頷いた。少し覚悟が必要なようである。


「……じゃあ、行こう」


「は……はい」


 僕と黒田さんは並んで廊下を歩き出したのだった。

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