怨嗟の手紙
青柳へ、次の文章を伝える。
この文章を読んでいるということは、貴様はもう戻れないということだ。
貴様が青柳の何代目の人間かしらないが……そんなことはどうでもいい。
とにかく、予定通りだ。我が一族を裏切った代償は、貴様の一族の終焉を以て償ってもらう。
思えば、先日もあの忌々しい宣教師の子孫と、余所者が数人やってきた。
私は皮肉にも、貴様も名前を騙ってソイツらをやり過ごした。なぜお前の名前を騙ったと思う?
それは、イロガミの中でもお前だけは許せないからだ。
お前の一族は、狂気に憑かれた一族だ。
ある年齢に達すると、人を殺さずにはいられない狂った一族……だから、我が灰村の家では、お前たちをイロガミにすることで、村内での暴挙から、お前たちを護ってきてやった。
しかし、灰村家が危機的状況にあったというのに、お前らは一番に村から逃げ出した。
明らかに灰村に対する裏切り……私が成功させた新たな八十神語りの最初の生贄は、お前になって当然だ。
私は新たな八十神語りを成立させるためだけの怨念として存在していた。
だから、お前がこのノートを見てハイムラ様と出逢えば、私の怨念は完全に消滅する。
その後のことは知らない。
ハイムラ様が引き続きイロガミの末裔共を贄とするのか、はたまた、全く別のことをするのか……私自身にとってはどうでもいいことだ。
だが一つ言えるのは、ついに我が一族は、神さえも作り出したということだ。シラカミ様に負けない、素晴らしい神を……
(この後は字が掠れている。それから数行空いた後で、酷く乱れた文字でまた文章が始まっている)
心配シナイデクダサイ。
八十神語りは、きけんなぎしきではありマセン。
とても、すばらしいことなのです。
だから、一緒に八十神語り、しましょうネ?
サァ、ウシロをフリムイて




