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白神さんの八十神語り  作者: 松戸京
偽神 灰村さん家の八十神語り
196/200

禁断の内容

 私は少しずつ家の奥に入っていくごとに、不気味さとこの家の状況の危険性を理解する。


 ……それにしてもこの廃墟はなんなのか。


 どうしてこんな場所が存在する? そもそもここはなんなのか?


 私の脳裏には、かつて祖母や祖父が言っていたことがなぜか思い出されていた。


 私の故郷は……私の一族は特別なのだ、と。


 一体特別とはなんだったのか? どういう意味で特別なのだ?


 私は理解できないままにさらに家の奥に一つの部屋があるのを確認する。


「……書斎?」


 部屋には、多数の本棚が見える。ということは、書斎である。


 私はナイフを握りしめたままでためらうことなく部屋の中に入る。


 実際本棚が周囲を囲んでいる。完全にこの家の書斎のようだった。


 ただ、本棚の本は虫食いだらけで、それが既に何年、何十年も管理されていないことは容易に理解できた。


 と、机の上には酷く古びたノートを発見する。


 しかし、ノートだけは埃をかぶっていない。それこそ、つい先日まで使われていたかのような感じだ。


 私は……恐怖を感じていた。


 意外だった。既に人を七人も殺めている私が恐怖を感じる……それ自体が異常なことだということは、私にも理解できた。


 私は震える指先で、ノートを開く。


「……八十神……語り?」


 ノートには聞き慣れない言葉が書かれている。八十神語り、ウシロガミ様、カガミ様、ハコガミ様、カクシガミ様、ワラガミ様、イロガミ様、コイガミ様……そして、それに関する詳しい説明も。


「何かの儀式か? それにしても……」


 意味がわからない。こんなことがなぜノートに書かれている? 


 そもそも、こんな廃墟にこんなノートがあるというのは、一体どういうことだ? 誰が書いたんだ?


 あらゆる疑問が私の頭を支配する。しかし、ページをめくっていくと、私はある箇所で目を止めた。


「な……なんだこれは……」


 思わずそう呟いてしまった。


 ノートはそれまでは日記の形式だった。ノートを書いたであろう主が、それまでの行動を記していたようである。


 それはかなり古いことで、わかったのは、そのノートの主が「灰村」という名字だということだけだった。


 しかし、私が目を止めた箇所に書いてあったのは、灰村の名前ではなかった。


「……青柳」


 私の名字だ。それがいきなり書いてあり、しかも「青柳へ、次の文章を伝える」と、まるで手紙のような導入で書かれているのだ。そして、下には文章が書いてある


 私は恐怖しながらも、文章を読み進めることにしたのだった。

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