表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白神さんの八十神語り  作者: 松戸京
第八神
170/200

因縁を断つには

「……で、大丈夫だった?」


 蛍さんが俺にそう訊ねてくる。


 黒田真白は……僕に何もしてこなかった。


 ただ……聞いただけだった。果たして、僕が誰を愛しているのか……選択をしているのか、を。


「……うん。大丈夫」


 僕は今一度はっきりと蛍さんにそう言った。既に蛍さんも鳥居のこちら側にやってきている。


 目の前には……黒ずんだ神社の焼け跡……既に黒田真白の気配はどこにもなかった。


「……蛍さん。その……」


「……黒田真白は……もうここにはいないわ」


 蛍さんはつらそうな顔でそう言った。そして、そのまま先を続ける。


「彼女は……たしかに人の形をしていたけれど……その中にはあらゆる怨念が渦巻いていた」


「でも……僕には何もしてこなかったですよ?」


「ええ……それは、黒田真白が全てを押さえ込んでいたから……彼女がかつてこの神社で八十神語りを行ったのは、きっと全てを終わらせたかったから。自分の娘……琥珀に、白神さんの悪影響を与えたくなかったからだと思う」


 そういって、寂しそな顔で蛍さんは神社の焼け跡を見る。


「……でも、結果的に、一人残されてしまったことで、黒田琥珀は誰かを強く求めるようになった……それは、黒須君であり……白神さんであった……」


 そして、蛍さんは今一度僕の方を見る。


「……黒須君。もし、黒田真白の願いを叶えてあげるなら、方法はたった一つしかないわ」


「え……それって……」


 蛍さんは真剣な顔で、そして、どこか寂しそうな目で、僕のことを見ていた。


「……黒田家と白神さんの因縁を終わらせる……つまり、黒田琥珀には……この世から完全に消滅してもらうしか……方法はないわ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ