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白神さんの八十神語り  作者: 松戸京
第八神
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離さない誓い

「さて……どうしたものかしらね」


 僕が正気を取り戻してから、蛍さんはホテルのベッドに腰掛けて難しい顔をしていた。


「……最後の八十神語りまでは……一週間しかないんですよね」


「そうね……色々と解決しなきゃいけないことは残っているっていうのに……まったく」


 蛍さんはそう言うと大きくため息をついた。


「……まずは、アイツの力を弱めることが先決かしらね」


「え……力を……弱める?」


 僕が思わず訊ねてしまうと、蛍さんは大きく頷く。


「そう。アイツの力が活性化されているのは、アイツの本拠地が元気になっちゃっているから……そこをどうにかすれば、多少、アイツの力も弱まるはず」


 そういって、蛍さんは難しそうな顔をする。


「え……アイツの本拠地って……もしかして……」


「……あそこ。旧白神神社」


 そう言われて僕は納得する。確かにあそこは相当禍々しい感じがした。


 そして、あそこで見た者は……


「……黒田真白」


「そう。白神が取り憑いている賢吾君の友達……黒田琥珀のお母さんね」


 そういって、蛍さんはベッドから立ち上がる。


「あの母親は無自覚なんでしょうけど……旧白神神社にあの母親がいるせいで、白神の力が強まっている。だから……悪いけど、さっさと成仏してもらわなきゃいけない」


「でも……蛍さん。その黒田真白は……」


 すると、蛍さんは険しい顔で僕のことを見る。


「……人の形をしていなかった。分かっているわよ」


 そう言うと蛍さんは僕の方に近づいてくる。


 そのままジッと僕のことを見つめていた。


「え……蛍さん?」


 すると、蛍さんは今一度ギュッと僕の右手を握る。


「……手、離さないで。今度は、何があっても」


 その言葉は心の底からの言葉に思えて……僕は思わずギュッと蛍さんの手を握り返す。


「……はい。絶対、離しません」


 そう言うと、蛍さんは満足そうに頷いた。


「……よし! じゃあ、さっさと片付けちゃいますか!」

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