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白神さんの八十神語り  作者: 松戸京
第七神
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コイガミ様の話

 親愛なるアダムへ


 アダム。君はなぜ、私を裏切ったのか。


 あんなにも約束してくれたことは、全て嘘だったのか。


 君は私を裏切っただけでなく、この村から逃げた。


 酷すぎる話ではないか。期待を持たせるだけもたせて、結局、君は私の願いを叶えてくれなかった。


 いや、私も少しはわかっていた。君が私のことを助けてくれる存在ではないということを。

 

 でも、期待をすることは私の自由だ。勝手な期待だったことは間違いないが、それでも私は期待したかった。


 こんなくだらない風習から開放され、私が私として生きてける人生を、君が与えてくれるのだ、と。


 しかし、実際はそうではなかった。


 君は私のことをどうでもいいと思っていただろう。だから、期待させるだけさせて、それを実現させるつもりはハナからなかったのだ。


 これで私に許してくれと、君は言うつもりではないだろう。


 君はそんなこととは言わない人間だ。それは私もわかっている。


 ならば、それでいい。私は君のことを今も愛している。


 君以外の男と心中するつもりは、心底ない。


 だから、私は君のことを許さない。


 永遠に許さない。私が死んで、何年経っても。


 君は私が知らないとでも思っていたのかもしれないが、私は知っている。


 君の子孫は、いずれこの村に戻ってくることを。


 その時、私は、私の無念を晴らす。


 その理由は簡単だ。


 私は君のことを愛しているからだ。


 だから、何年経っても私は君にこう言うだろう。


 一緒に死んでくれ、と。


 黒田●●(●の部分は字が滲んでいてよく読めなくなっている)

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