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白神さんの八十神語り  作者: 松戸京
第七神
140/200

意を決して

 そして、僕とケイさんは階段を登りきった。


 白神神社の境内には……


「……誰もいない」


 僕とケイさん以外には……誰もいなかった。


 白神さん……琥珀の姿も見えない……これでは八十神語りが開始できないではないか。


「いない……わね。特に何も言われなかったの?」


「え……ええ。特には何も……手紙だけですね」


 僕がそう言うとケイさんは不審そうに、僕が持っている手紙を見る。


 そして、覚悟を決めた目線で僕を見る。


「……手紙、読むしかないんじゃない?」


「え……よ、読むんですか?」


 ケイさんのその言葉に、僕は思わず驚いてしまった。しかし、ケイさんは冗談を言っているわけではないようである。


「だって、読まなきゃ何も始まらないでしょ? まぁ……危険性はあるけど」


「え、ええ……だ、大丈夫なんですかね?」


 僕がそう言うとケイさんは首を横に振る。


「残念だけど……大丈夫だってこと、今まででもなかったでしょ?」


 ケイさんに言われて今までのことを思い出す……確かにその通りだった。


 八十神語りを行った後は、紛れもなく不味いことが起こった……そして、それが今回も適用されるならば……


「……はぁ。でも……確かにそのとおりですよね」


 ケイさんの言うとおりではある。


 手紙を読まなければ……何も先に進まないのだ。


 だとすれば危険を冒してでも、手紙を読む必要はあるのである。


「……わかりました。読みます」


 僕がそう言うとケイさんも小さく頷いた。


「わかった。何かあったらすぐに読むのを中断してよ。気分が悪くなったりとか……ね?」


 心配そうにそういうケイさん。僕もケイさんのことを真っ直ぐに見たままで頷いた。


「じゃあ……読みますね」


 ケイさんにそう言ってから、僕は二つ折りになっている手紙をゆっくりと開いたのだった。

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