手紙
「……で、センセーに速攻で電話して……ここに来たってわけ?」
喫茶店テンプルで、僕はケイさんと対峙していた。
テーブルの上には琥珀……白神さんからもらったものがある。
「うん……でも、番田さんは……」
「ったく……肝心な時に用事があるから今日は来られないって……センセーもどうしようもないわね」
ケイさんはそういって、コップの中にはいったオレンジジュースをストローで啜り上げる。
そして、今一度テーブルの上のモノに目を戻した。
「で……これ、手紙、よね?」
ケイさんはそういってテーブルの上のもの……白神さんからもらった手紙を指差す。
「……ええ。ですね」
「えっと……白神はアンタに……果たし状でも渡してきたわけ?」
ケイさんは呆れ顔でそう言う。
……そんな感じじゃなかった。少なくとも、今から僕と戦うとか……そういう感じでは。
「……これが、終わりのはじまり、って……」
「終わりの……はじまり」
ケイさんは僕が言った言葉を今一度繰り返してから、深刻そうな顔で今一度手紙を睨む。
「……次の八十神語りって、いつ?」
「え……なんでそんなことを?」
「いいから。答えて」
そう言われて、僕も今一度思い返す。
「えっと……あ。それって、もう明日……」
よくよく考えれば朝から大変な目にあっていたので忘れていたが……八十神語りは既に明日に迫っていたのだ。
ケイさんはそれを聞いて大きくため息をつく。
「なんだ。簡単じゃない。それ、明日の八十神語りに関係あるものよ」
「え……そ、そうなんですか?」
僕が訊ね返すと、ケイさんは頷く。
「当たり前でしょ。だから……そうね。明日、白神神社に行くまでは、それ、見ちゃダメよ」
「え……ダメ、ですか?」
「当たり前でしょ。白神が渡してきたものよ? まともなもののわけないでしょ?」
そういって、ケイさんは立ち上がる。
「ほら。行くわよ」
「え……どこに?」
すると、ケイさんは大きくため息をついてから僕のことを睨む。
「アンタのお父さんの所。怪我したんでしょ? お見舞いがてら、気になることもあるから聞きに行くのよ」




