『新文献から見る白神村と八十神語りの存在』
(以下、番田宗次郎教授の論文より引用)
「白紙町(旧白神村。以下、白神村と表記)にはある特殊な伝承歌が伝わっている。以下にそれを示す。
やそがみきたりて ひとさかえん
いちがみきたりて かみひかれん
ふたがみきたりて かみむかえん
さんがみきたりて かみとざさん
よんがみきたりて かみかくさん
いつがみきたりて かみわらわん
むつがみきたりて かみなづけん
なながみきたりて かみこいせん
やそがみきたりて かみとならん
この伝承歌は『白神村文書録』という、民家の蔵の中にあった文書からの引用である。
白神村にはかつて『八十神語り』という儀式が存在したことは、この文献以外からはうかがい知ることは現在難しくなっている。それは、白紙町においては八十神語りは忌むべき因習であったとされており、住民であっても、その存在を知るものは高齢者に限られているという。
だが、この伝承歌はすなわち、八十神語りの方法、あるいはその手順を示しているのだと、筆者は推定している。管見の限りでは当該文献以外に伝承歌の存在を立証するものはなかったが、これが八十神語りと関係性のあるものであると言うことは出来るだろう。
よって、筆者は、文献の少ないという困難があっても、今後も白神村に対する調査は必要であると考えている」(以上、番田宗次郎著『新文献から見る白神村と八十神語りの存在』より引用)