パンツの行方
「あんた! 私のパンツ盗んだでしょ!」
突然部屋に押し入って来た幼馴染にそんなことを言われた。いつもの彼女らしく凄い剣幕だ。
「いや、盗んでないよ。お前のパンツに興味ないし」
「じゃあ何で私のパンツ無いのよ!」
「知らないよ」
他人を疑うもんじゃないよ? オレはお前の布パンツに興奮するほどマニアじゃない。
オレの返答を聞いた自称美女の幼馴染は、膨れっ面のまま目の端に涙を浮かべていた。余程恥ずかしかったのだろう。オレだって自分の下着を無くしたことを隣人に告げれば同じような反応を返すに違いない。
それにしても可愛い。洋服ダンスの大きさにも満たない身長、その怒りで赤くなった頬、高校生であるにも関わらずいちごパンツを愛用する幼稚さ、全てが萌えに通ずる要素となっている。あぁ、可愛い。例え同姓に聞いたところでその返答は揺るがないだろう。
幼馴染は未だ疑っているようで、オレの部屋を見回し始めた。しばらく経った後、幼馴染は何を思ったのかオレの下半身を眺め始める。
「まさか、履いてないでしょうね」
「そんなことするはずないだろ。いくらお隣さんだからってそこまでしないよ。第一、サイズが合わないだろう」
それでもまだ疑っているようで、寝転がっているオレのスカートの中を覗き始めた。だから履いてないって。一応オレも女の子なんだから、そのアングルから眺めるのはやめてくれないかな。
幼馴染はやっと納得したようで、「見つけたら教えて」とだけ言い残して部屋を出て行った。
ふぅ、危なかった。オレはポケットの中に隠してあったいちごパンツを取り出す。
ふっふっふ、奴のパンツは今履いているものを覗けばこれしかない。きっと困った顔をしてまた涙を浮かべるだろう。想像しただけで興奮してきた。奴の泣き顔が可愛すぎるのと、あいつも女のくせにパンツを二着しか持っていないのが悪いんだ。だからオレにこんなことをさせるのだ。
オレは不気味な笑顔を浮かべて再び寝転んだ。