恩恵〈ギフト〉2
3話
恩恵 (ギフト)2
【ワシからのギフトじゃ。】
今まで下着姿だった身体に、着衣が現れた。簡素だが機能的であるコレが、普段着になるのだろう。
「うん、着やすいし丈夫そう。」
衣服に続いて現れたのは、旅先で何かと重宝しそうな袋(実際スゴく便利なアイテムボックスだった)、短剣、希望していた手帳と万年筆など。もらったばかりの袋に詰め込んだら、ふとある事にきがついて。
「…今更なことですが、自分達は新しい世界にどう認識されて居るのですか?」
樹里と美遊を見る限り、人間以外の種族も存在することはわかっている。民族間の関係は良好なのかどうかは気になる。
【ふむ、そうじゃの。 世界の名は《》数多の種族が生きる世界。過去には国同士・種族ごとに諍いもあった。今も多少の小競り合いはあるが、概ね平和な世界じゃろうて。】
神様の言葉に、正直ホッとした。だってぬるま湯にどっぷり浸かった、争いは避けて通る日本人ですから。
まずは、お前さん(樹里)は妖精族・エルフじゃ。尖った耳に男女とも見目麗しい容姿をしておる。森や谷の奥深くに隠れ里があって多くはそこで暮らしておるが、街で生活している者も冒険者などもおる。精霊術が得意だの。
つぎにお前さん(美遊)は妖精族・小人ホビット族。エルフと同じ子供のような容姿だが俊敏で精霊術も得意、草原の民とも呼ばれ、多くの冒険者や旅人のオアシスにもなってくれる友好的な種族だの。
最後にお前さん(燐)はちと珍しいようじゃの。ハイヒューマンじゃ。まあ人族には変わらんのだが、魔力量が大きいのが特徴なんじゃ。それ故、隠者となり世俗から離れて暮らすものもおる。】
あれか、魔力量が多いのが問題なのかなぁ。じゃ、生産系の能力スキルに特化した配分でいこう。旅先で身を守ることが出来ればいい程度の攻撃力と逃げ足があればいいし。勇者?正直面倒だし。変わってるとか言われても気にしません、はい。
いろいろと気を使って(苦笑)もらい、ようやっと出発の準備も調いました。私は旅装束に身を包み、前世から持ち込んだアイテムを引き出ごとに仕分した、木目の綺麗な引き出し収納に皮の手帳と筆記用具。
樹里はエルフの民族衣装を自分なりに調整したものに、愛用のシタール。
美遊はこれまた民族衣装を自分なりにアレンジしたものに、大きな毛玉……いや、愛犬リュウの姿がある。姿は変わらないが《賢獸》として転生を果たすことができた。言葉も話すから美優の良き保護者になってくれるだろう。
【さて、いよいよ旅立ちの刻限じゃ。よき旅を、実り多き人生を】
神様の花むけの言葉をうけて、眩しい光が私達を包む。一瞬のうち深い森の中に現れた私達を取り囲むのは、物々しいいでたちのエルフたちだった。
また、フラグが立ちました。