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「ゆっ!!ごみくずはばかすぎてあきれるんだぜぇ!!
ごみくずのたくらみなんてまりささまはすべておみとおしなんだぜ!?
おきのどくなんだぜぇ!!げらげらげらげら!!ふっきんほうかい!!」
まりさが笑っている。
「ゆふぅ~……とかいはなせれぶのありすには、
いなかもののかんがえることなんておみとおしよ」
「ままはおみとおしよ!あてがはずれたわね!!んほっ、んほほぉぉ!!」
「どうしてわかったかおしえてあげましょうか?
ありすがまえにすんであげていたゆっくりぷれいすのにんげんは、
はじめはありすにぞっこんで、かいがいしくありすにほうししていたわ。
ありすがいえば、すっきりようのゆっくりをつぎつぎともってきた。
にんげんがあれこれやってくれというから、
やさしいありすはおのぞみのぷれいをみせてあげもしたわ」
このありすの飼い主が、あの技術を教えたのか。
「でも、そのにんげんは、あれほどかわいがってもらったおんもわすれて、
このありすをうらぎった。
にんっしんっしたのよ。
にんっしんっしてこどもがうまれたたとたんに、
そのにんげんはありすをゆっくりぷれいすからほうりだした。
じぶんのこどもにかまけて、
ほんらいのしごと、ありすのどれいのせきむからにげだしたのよ!」
「んほっ、まったくにんげんはいなかもののかとうどうぶつよね!
ちゃんとみてないとすぐににげだすんだから!!」
「このおねえさんがにんっしんっしたときから、
ありすにはこうなることはわかっていたわ。
あなたたちにんげんは、こどもができると、まわりがみえなくなる……」
「だからまりささまがまびいてやったんだぜ!!」
まりさが引き継いだ。
「こどもをみてしこうていしするまえに、
まりささまがまよいのたねをつみとってやったんだぜ!
ごみくずどもはいままでどおり、つよくてかっこいいまりささまにしんすいして、
まりささまだけにつかえていればいいんだぜ!!」
「あらりょうじだったけど、れいせいになってよくかんがえなさい。
おちついてかんがえればこれがただしいとわかるはずよ。
いなかもののかとうせいぶつでもね!!」
「れいむはおまえにこどもをころされたんだよ!!
こどもをころされるくるしみがわかった!?もっとくるしんでね!!げらげら!!」
ゆっくり共は、悪意の塊のような表情を浮かべてせせら笑っていた。
それはひどく醜く、どれほど憎んでも足りなかった。
「こどもはありすにおかされてしんだよ!!
くやしい?くやしい?ねぇねぇ、いまどんなきぶん?どんなきぶん?ゆっゆっゆ~♪」
震えて泣きながら、俺はゆっくりと疑問が氷解していくのを感じていた。
「ざまぁ!!ざっまぁぁぁぁ!!くやちぃくやちぃ~~~~~♪」
ああ。
「げらげらげら!!そしてこのかお!!ないてるときがいちばんばかみたいなんだぜぇ!!」
そうか。
「ごみくずはむせびなき~♪れいむたちはいいきぶん~♪ゆっゆ~~ゆゆゆ~♪」
お前たちは。
「このおねえさんひっどいかおよねぇ、みっともないったらありゃしない!
とかいはにこーでぃねーとしてあげるわ!んほおおぉぉすっきりいいーーーーーー!!!」
苦しむために生まれてきたんだな。
由美は死んではいなかった。
しかし、病院で医師に宣せられたことは死と同義だった。
頚椎骨折。
あの部屋で倒れたとき、首の部分がちょうどまりさの天蓋つきベッドを下敷きにして、
その骨組をなしていた木材にぶつかり、頚椎を折っていた。
脊髄を損傷して由美は全身不随となり、意識も失ったまま戻らなかった。
病院のベッドで点滴を受け、なにも映さない目で天井を見つめるだけの生活になった。
子供は女の子だった。
発見したときにはすでに手遅れになっており、
その亡骸は、長浜家の墓に埋葬された。
俺が決めてあった名前が、その墓には彫られた。