まりさ虐待 物わかりの悪い餡子脳
しばらく待った後、俺は頃合いを見て壁のスイッチを押した。
とたんに、鏡張りになっていた一面の壁が、隣の部屋の光景を移した。
この壁はマジックミラーで、鏡の状態と透明な状態を、
ボタン操作で切り替えることができるようになっていた。
今は向こうからも見えるようになっている。
部屋の向こう側は、本当のゆっくりプレイスだった。
部屋の間取りはこちら側と同じく八畳程度だったが、
壁には草花や青空や動物たちがデフォルメした可愛らしい画調で描かれ、
ふかふかのクッションやソファがあちこちに山ほど積まれている。
ブランコや滑り台や砂場、遊び場や玩具もふんだんにあった。
部屋の隅には餌場があり、いつでも砂糖水が飲め、
定期的にお菓子が補充されるようになっている。
そこには大小さまざま、およそ十数匹のゆっくり共がくつろいでいた。
ソファに寝転び、滑り台で遊び、家族で歌を歌う。
この部屋には常時二人ほどの人間が世話係を勤めており、
好き勝手に垂れ流される排泄物をはしから処理したり、
求められれば遊び相手になったりしていた。
「ゆぅうううううう…………!!」
おおむね体力を回復させたまりさ共は、
眼前に広がるゆっくりプレイスに目を輝かせた。
「ゆぅうううう!!すごいのぜ!!とっっっってもゆっくりできるのぜ!!」
「あれはまりささまのゆっくりぷれいすにするんだぜ!!
あいつらはおいだしてやるんだぜ!!」
自分たちの状況を完全に忘れて騒ぎ立て、壁に体当たりする子まりさ共。
壁が破れないとみるや、俺の方を向く。
「おい、ごみくず!まりささまをあっ……」
俺の顔を見たとたんに、状況を思い出したようだ。
子まりさは失言に気づき、口を閉ざして震えだした。
親まりさは失言こそしなかったものの、期待に目を輝かせていた。
その目が、すがるように俺を見上げている。
「俺は言ったはずだ。ずっとゆっくりさせないと」
そう言ってやりながら、俺は失言した子まりさを踏みつける。
「びゅぇええっ!!」
何度も踏みつけてやりながら、俺は説明する。
「あのゆっくり共はお前らとは関係ない。
あいつらはあそこでゆっくりするが、お前らはここでずっと苦しんでもらう。
わかったな」
「ゆひぃぃいいい………」
慈悲を求めるように目を潤ませるまりさ共。
「わかったな!」
「わがりばじだあああ!!」
踏みつけていた子まりさを蹴り飛ばし、親まりさに叩きつけると、
ようやく返事が返ってきた。
ゆっくりプレイス側のゆっくりが、不安げにこちらを見つめていたが、
隣にいる世話係の人間が説明してやると安心したようだ。
どこか侮蔑を顔に浮かべ、にやつきながら眺め始めた。