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翌日、300万円を持って『何でも屋』の事務所に持って行った。
「こんにちわ、みなさん」
「お前は昨日の…何しに来たんだ、まさか本気で300万持ってきたんじゃないだろうな?」
女社長がそう言うと、オッサンがプッと吹き出した。
「…ええ、きっちり300万耳をそろえて持ってきました。これでここで雇ってもらえるんですよね」
俺は強気で言いながら金の入った封筒を女社長に突き出した。
「「「「な!?」」」」」
どうやら全員、俺が金を持ってくるとは思わなかったらしい。
「…確かに300万あるな」
「これでわかってもらえましたよね、俺が本気ってことを」
「あ、ああ」
やった!これで女の子と一緒に働ける!俺はガッツポーズをしていた。
ハッ!?やはり俺はすでに惚れていたのか…
「だがもう一度だけ確認をとっておくぞ。今なら金も返してやる。この仕事をするからには命の保証はできないし、二度と普通の生活には戻れないだろう。それでも働く気はあるか?」
ゴクリ。昨日は嘘だと思っていたがこの念の入れよう、本当かもしれない。だが、俺は刀の女の子に惚れてしまった。
「はい、それでも構いません!ここで働かせてください!!」
「…わかった、お前の根性を買った。雇うことにしよう」
俺はあまりの嬉しさに女の子に抱き着いた。
「……」
ゴッ、という鈍い音と激しい痛みで我に返った。どうやら鞘で殴られたらしい。
「何やってんだ…」
女社長に呆れられた。
「す、すみません、つい嬉しくなっちゃって」
「ふむ、そんなに嬉しいもんなのか。まぁとりあえず時給決めないとな。そうだな…よくわからんから時給1万円でどうだ?」
「ぶはっ!!じ、時給1万円!?」
「ありゃ、安すぎたか。じゃぁ10万でどうだ?」
「いえいえいえいえいえ、1万で十分ですぅ!!」
こうして俺の『何でも屋』での生活が始まった。