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扉を開けると人が四人居た。男女二人ずつだ。
社長席らしいところに座っているのはたぶん女性である。というのも胸がなかったからだ。健全な男子であるがゆえにこれはしょうがない。
コンピューターの前に座っているのは不健康そうな男性と中年のオッサン。
そして、刀を持った俺とそこまで歳の差がなさそうな女の子がいた。
ん、刀!?俺は一瞬驚いたが本物なわけがないと一人で納得した。
「すみません、ここが『何でも屋』で間違いないでしょうか?」
「ああ、ここが『何でも屋』で間違いないよ」
そう社長らしい女性がぶっきらぼうに答えた。
(なんて愛想がない人だ…仮にも俺は客だぞっ…!!)
俺は心の中で毒づいたが、言葉を続けた。
「『何でも屋』ということはどんな依頼でも引き受けてくださるんですよね?」
「確かに、うちは『何でも屋』だがどんな依頼でも引き受けるわけがないよ。依頼内容、それに見合っ た報酬を客が用意できるかによる」
「あとはその依頼が面白いかどうかだな」中年のオッサンが付け加える。
俺はその言葉を聞き、さらに言葉を続けた。
「じゃあ……俺をここで働かせてくれませんか!!?」
しばしの静寂。息が詰まる。
次の瞬間、どっと笑いが起きた。
「依頼内容が、ここで働かせてくれだってよ!初めてだぜこんな奴!!」
見ると周りの全員が笑っている。刀らしき物を持っている女の子もだ。
…かわいい。俺はどうやら惚れてしまったのかもしれない。
アーオホン、とわざとらしい咳が聞こえた。
「いきなり笑ってしまってすまなかったな、なにせ予想の斜め上過ぎてな」
クックック、とまた思い出したのであろう笑い始める。そして急に真顔になり、
「その依頼、確かに面白いがうちはただの何でも屋じゃないんだ。命に保証ができない」
ゴクリ。俺はそれが嘘じゃないのでは?と不安に感じてしまった。
だがよく考えてみる。歳が変わらないような女の子もいるんだぞ、嘘に決まっている。
「体力には自信があります!最近はちょっとノイローゼでしたが…やる気はあるんです、どうかお願い します!」
「……よし、いいだろう。この依頼引き受けよう。依頼料は前金で300万だ。明日のこの時間までに用 意できないようならこの依頼は悪いがキャンセルさせてもらう、いいね?」
…300万だって!?俺は耳を疑った。
そんな金、あるはずなかった。