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It was like a penknife in my heart
ああ、そろそろ来る時間だ。
坊や、外に出てはいけないよ。連れていかれてしまうからね。
暖炉の傍、父さんの膝の上で大人しく聞いているんだ。
「彼」はただ季節が変わるたび、この町に来て物語を語る。父さんがお前くらいのときもそうだった。
同じ話は聞いたことがないな。
必ず違う話だったよ。あるときは王女様の話を、またあるときは天使の話を。
坊やも大人しく聞いているんだよ。
歌うような静かな声が家という家の硝子を透かして流れ始めた。