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戦国ちびっこ店長  作者: 東のマ王


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38話、覇道の幕開けと、最強軍団の進撃!

ーー甲斐国・躑躅ヶ崎館(武田家の本拠地)の大広間。


病を完全に克服し、全盛期の威厳を取り戻した武田信玄公が、鋭い眼光で名だたる重臣たちを見下ろしていた。


信玄「者ども、これより西上作戦を開始し、織田信長と徳川家康を討つ! だが、ひとつ厳命しておく。尾張の信長は、三千丁もの鉄砲を三列に並べ、絶え間なく放つ『三段撃ち』なる新戦術を企てておる。我が自慢の騎馬隊による正面突撃は厳禁じゃ!」


山県昌景「(驚愕して目を見開き)な、なんと……! 鉄砲を三列に並べて次弾装填の隙を無くすとは、信長め、そこまで恐ろしい戦術を……! されど御館様、なぜそれを?」


信玄「(不敵にニヤリと笑い)ふん、神の啓示よ。我が軍は盾板(たてばん)を大量に配備し、雨天を突いて奇襲、および夜戦にて織田の鉄砲隊を無力化する陣を敷く! ーー山県昌景、馬場信春、先陣を承(うけたまわ)れ! 目指すは南信濃の遠藤領じゃ!」


重臣一同「「ははっ! 武田の覇道、今こそ日ノ本に示さんーーーー!!」」


ーーヒヒーーンッ! と、何万という軍馬のいななきが甲府の空に響き渡り、最強の武田軍団が砂煙を上げて進軍を開始した。


ーー数日後、南信濃の深い山の中、遠藤領の境界。


頼重「(物見櫓から遠くを眺め、冷や汗を流しながら)……来た、来たぞ! 山の向こうから、武田の象徴たる『赤備え』の軍勢が、地響きを立ててこちらの山道へ向かって来ている!」


頼武「(木刀をぎゅっと握りしめて)父上、ついに俺たちの出番ですね! この数ヶ月、松千代のお蕎麦と筋骨の稽古で、俺の身体は岩のように強くなっております! いつでも戦場へ飛び込めますぞ!」


頼次「兄上、落ち着いてください。ぼくたちの最初の任務は戦うことではありません。母上(お艶)の作戦通り、まずはあのクタクタになった本隊の皆様を、あの『極楽旅館』へご案内することです」


松千代「にぃに、おとうたん! お外が、お馬さんパカパカで、にぎやかだねー! まつちよ、お汁(出汁)をいっぱい沸かして待ってるよぉ!」


お初「はい、松千代様! 小窓のテラス席も、みたらし団子の焼き台も準備万端です! お風呂もお湯をなみなみと張っておきました!」


ーーその日の夕暮れ時、遠藤領のテラス席の前。


先陣を切って山道を駆けてきた武田家の重臣、山県昌景(やまがたまさかげ)が、泥まみれになり、過酷な山越で息を荒らしながら馬を止めた。


山県昌景「はぁ、はぁ……なんという過酷な山道じゃ。今夜は地面に筵(むしろ)を敷いて雑魚寝か。……むっ!? ーーい、いかにこれは、いったい何事じゃあぁぁ!?」


馬場信春「(昌景の横で目を丸くして絶句する)な、なんなのだこの場所は……! こんなに深い南信濃の山奥に、なぜ現代的な灯りがぽうっと灯る立派な二階建ての『旅籠(旅館)」が建っておるのだ!?」


昌景や信春の後ろに続く、疲れ果てた数千の武田兵たちも、山奥に突如現れたピカピカの木造旅館と、そこから漂ってくる香ばしい「焼き鳥」と「お出汁」の暴力的なまでの良い匂いに、一瞬で武器を取り落としそうになる。


お艶「(テラス席の前で、にっこりと優雅にお辞儀をしながら)武田の本隊の皆様、過酷な山道のご遠征、本当にお疲れ様にございます。これより先は、我が遠藤領の『極楽の宿』にて、一日の疲れをお癒しくださいませ……ふふふ(現金を回収する笑み)」


松千代「おじさんたち、いらっしゃーい!

あったかいお風呂と、あまーいお団子、いっぱいあるよぉ! ろくもん持って、おいでぇなのぉ!」


戦国最強の武田軍の本隊が、織田・徳川との決戦を前に、松千代の『湯そば庵』とお母様が仕掛けた「極楽旅館」の罠へと、ついに足を踏み入れたのでした。

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