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第6話-2 工房の休日

食堂で料理を待っていると、扉が乱暴に開いた。


「動くな!」


刃物を持った男たちが雪崩れ込んでくる。

一瞬で空気が張りつめる。


「金を出すまで、誰も動くな!店主は早く金をもってこい!」


誰かがぶつかりある音が聞こえ、大きな飾り棚が倒れた。

棚に掛けてあった護符が何枚も床に散らばった。


火除けの護符――魔力が絡まり、熱を帯びている。


(……まずい、このままだと暴発する)


考えるより先に身体が動いた。


いつもの仕事と同じだ。

魔力の流れを感じ取り、絡まりを整える。

染み込みすぎた部分を逃がし、均す。


「……っ」


小さな音とともに、護符の熱がすっと引いた。


「おい、コーデなにしてんだ。」


ラグが囁くように話しかけてきた。


「暴発しそ⸻」


「何してやがる!」


強盗がこちらに向かう。

手にはナイフを持っていて、体が硬直してしまった。


その瞬間、ラグが強盗に飛びかかった。

詠唱も魔法もない、ただの体当たりだ。


混乱の中、コーデは腰のポーチから、小さな魔道具を取り出した。

馬車や水車などを事故防止のために一瞬だけ動きを止める、日用品の魔道具だ。


古具屋で、壊れているから安くなっていたものを興味本意で購入したもの。

コーデなりに修理をしてみたが、一定範囲の動きを鈍らせるだけの効果しかない。


床に転がす。


――カチン。


起動音は小さい。


本来なら、

・半径二歩分

・数秒

・相当量の魔力消費


それくらいの性能。


……なのに。


突っ込んできた男の足元だけ、

空気が重くなったように沈んだ。


「なっ……!?」


男がつんのめり、そのまま倒れる。


周囲の客や店主には、何も起きていない。

椅子も、床も、正常だ。


「う、動け……」


魔道具は、必要なところにだけきっちり効いていた。


(……まだ、使えそうだな)


コーデは無意識にそう判断する。


もう一人の強盗が逃げようとした瞬間、同じ魔道具を、少しだけ位置をずらして使う。


結果は同じだった。

二人とも過不足なく動きを封じられている。


兵が駆けつけ、事件は終わった。



外に出てから、しばらく無言で歩いた。


「……お前」


ラグが口を開く。


「あまり無茶するなよ」


「ラグもじゃないですか」


「俺はお前が危なかったからだろ」


照れくさいのか、短く言い切る。


「……魔道具も、すごかったな」


「普通のやつですよ」


「普通に見えなかったがな」


驚きと感心が混ざった声だった。


「ちゃんと手入れしてましたからね」


「……まあな」


それ以上は聞かない。

それがラグなりの距離感だった。



一人になってから、コーデは使った魔道具を丁寧に拭いた。


(魔道具、やっぱり好きだな)


ちゃんと応えてくれる。


(古文書と少し似てる気がする)


今日の出来事は少し派手だった。

だが、したこと自体はいつもと同じだ。


それでも――

魔道具を使った時、魔力の流れが思った以上に素直に動いた気がした。


魔法も、修復も、魔道具も。

全部――同じ延長線にある気がする。


(……気のせいかな)


そう思い、道具箱を閉じる。


休日は平穏が一番だ。

コーデはそう結論づけて、明かりを落とした。

読んでいただいてありがとうございます!


初投稿なので、投稿設定など至らぬところがあるかもしれません…。


ファンタジーファンの一人として、面白い物語を書いていきたいので、ご愛読いただけると嬉しいです!


週に1話は投稿していきたいと思います!

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