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第12話-1 王との謁見

目が覚めたとき、まだ空は夜の名残を抱えていた。


薄い光が、宿の窓越しに滲んでいる。

意識がはっきりするよりも先に、胸の奥がそわそわと騒ぎ出した。


(……王都にいる)


その事実だけで、眠気はすっかりどこかへ消えてしまう。


身体には確かに疲れが残っていた。

初めての長旅。慣れない移動の連続。


それでも布団に戻る気にはなれず、コーデはそっと身を起こした。


宿の中は静かだ。

防音の術式が外の気配を柔らかく遮っている。


廊下を抜け、表へ出る。


朝の王都は、昼や夜とはまるで違う顔をしていた。


人の数は少ない。

だが、街そのものは目覚めている。


(……魔力が澄んでる)


人の活動による揺らぎが少ない分、王都を支える魔力の基礎構造がよく見える。


太い流れが幹となり、そこから細い支流が無数に枝分かれしていく。

道路、建物、井戸、照明、通信。


すべてが有機的につながり、破綻のない循環を作っている。


(設計思想が……違う)


工房の街では、壊れないよう抑制する思想が強かった。

だが王都は、使うことを前提に組まれている。


しばらく歩いただけで、頭の奥がじんわりと重くなり始めた。


(……いけないな)


無意識のうちに“修復点”を探し始めている自分に気づき、視線を切る。


王都は魔法的に整備されている。

だからこそ、気になる場所が多すぎる。


――


宿へ戻ると、食堂にアルス――代表の姿があった。


すでに朝食をとっている。


「早いな」


「……代表も」


「私は年寄りだからな」


そう言いながら、口元は楽しそうだった。


朝食を済ませたあと、アルスは何でもない調子で言った。


「今日は謁見だ。一応な」


「一応……?」


「公の場だ。ちゃんとした格好をしないとな」


そのまま連れて行かれたのは、仕立て屋だった。


丁寧に測られ、選ばれた服は派手さこそないが、動きやすく、場にそぐうものだった。


そして――


着替えたアルスを見て、コーデは思わず言葉を失う。


(……雰囲気が)


派手ではない。

だが明らかに“別の顔”だ。


魔法使いらしさは残しているが、それ以上に学者のような落ち着きがある。


「どうだ」


「代表……その……」


「そんなに変か?」


「いえ、ただ……」


(ちゃんと“王都の人”だ)


――


城へ向かうにつれ、空気が変わっていく。


王城の外壁は王都の街壁とは質が違う。


より古く、より重い。


(……濃い)


街中の魔力が流動的なものだとすれば、

城の敷地に満ちる魔力は“沈殿”に近い。


積み重ねられた契約。更新され続けた魔法。それでもなお残り続ける、古代の残滓。


(簡単に触れたら……まずい)


本能が警鐘を鳴らす。


城内へ通される。


長い回廊。高い天井。柱一本一本に刻まれた古い紋様。


装飾に見えるそれらは、すべて意味を持っている。


(……城そのものが、巨大な契約)


謁見の間へ至る前室には、すでに人が揃っていた。


高官らしき家臣。文官の長。軍を統べる将。


その視線が一斉にアルスへ向く。


ざわり、と空気が揺れた。


「……アルスだと?」


「本当に来たのか」


小声の囁き。アルスは気にした様子もなく、ただ城の中を進んでいく。


やがて重厚な扉が開き、玉座の間が姿を現した。

読んでいただいてありがとうございます!


初投稿なので、投稿設定など至らぬところがあるかもしれません…。


ファンタジーファンの一人として、面白い物語を書いていきたいので、ご愛読いただけると嬉しいです!


週に1話は投稿していきたいと思います!

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