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プロローグ



紙に触れると、落ち着く。

ざらつきのある端も、何度も折られた跡も、触れていれば自然と分かる。


破れている場所や、糸が緩んでいるところは、目で探す前に、指が先に気づくことが多かった。

文字は、並んでいるだけでいい。


意味が分からなくても、順番が正しければ、読み進めるときに引っかからない。

行がずれていたり、余白に無理に押し込まれた一文があると、それだけで落ち着かなくなる。


だから、直す。

読めるようにするためというより、そうしておかないと気持ちが悪いからだ。


古い契約文や祝福文は、今ではほとんど使われていない。

それでも書庫には残され、時々、修復の依頼が回ってくる。


魔法が直るかどうかは、誰も期待していない。

ただ放置すると良くない、と言われている。


理由は知らない。

昔のことだし、大人たちは詳しく話そうとしない。

それでも、直しておいたほうがいい、という空気だけは残っている。


修復係の仕事は地味だ。

破れた紙を繕い、糸を締め直し、文字が剥がれないように定着させる。

魔法は補助に使うだけで、ほとんどは手作業になる。


それでも、この仕事は嫌いではない。

文字が元の場所に戻り、行が揃うと、紙全体が静かになる。


直したあとで読み返すと、さっきまであった違和感が、きれいに消えている。

それだけで、十分だった。


世界がどうなっているのかは、よく分からない。

大きな出来事にも、あまり関心はない。


ただ今日も、書庫の机の上で、

落ち着かない文字を、正しい場所へ戻している。

読んでいただいてありがとうございます!


初投稿なので、投稿設定など至らぬところがあるかもしれません…。


ファンタジーファンの一人として、面白い物語を書いていきたいので、ご愛読いただけると嬉しいです!


週に1話は投稿していきたいと思います!

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