第一話 神器と少年
武器 それは人類が狩猟、権威、戦争のために発明された。
時に人はそれを扱い目的に応じた武器を作り出した。人と道具。それ以上でもなくそれ以下でもない。
しかし、この世界では...
武器は喋る!意思を持ち、反抗し、まるで人のように権利を語る。それが普通である。
「お前、今日俺様の扱いが雑だったんじゃぁねぇのか?」
「仕方ないだろ、俺だって必死だったんだよ!」
「毎日のように研いでもらって私は嬉しいよ!明日も討伐がんばろうね!」
そして、そんな世界に生きる1人の少年 リル・フェン このベルタルの城下町に住む国民である。
「そろそろお金も溜まってきたし、武器を手に入れて討伐を始めてみようかな。」
「そこの坊主!武器を探してるなら俺が創った子はどうだ?切れ味抜群だぞ。」
「僕を使うには少し幼い気もするけど、まぁ悪くないね。」
「ははは...まぁまた来るよ。」
武器は生涯を共にするパートナーとなりうる大切な存在。リルは悩んでいた。
「みんな武器をおすすめしてくれるけど、やっぱりしっくり来ないよな...生活費稼がないとだから早く選ばないとダメなんだろうけどさ。」
「困るなぁ...ってうわ!」
「いってて...なんだこれ、短剣?随分と装飾の凝ったいい短剣だけど誰のだろ」
「んー、あ?なんだお前。俺に触れるとはいい度胸だな。」
「ええ!君がここで落ちてたんでしょ?その言い草はちょっと酷くない?」
「俺はカムイ!見ての通りの短剣にして、最強の神器である!」
「.......え?神器!?!?」
神器とは、武器のランクでの最高位であり特別な能力を授かったこの世に数少ない武器である。
「そんなすごい武器がなんでこんなところで?」
「堕とされたんだよ、こっちの世界に。」
「堕とされたって、武器の世界こと武界から?」
「まぁ色々あってな、そんなことより、お前俺のこと拾ったんだから責任もって世話しろよ。」
「ええ!?そんな理不尽な。」
「俺は神器だぞ。生半可な武器共より強い武器だ!見た感じまだ相棒を決めてないんだろ?俺が武界に戻るまでの間、力を貸してやるよ!」
「そんなぁ....」
なんかこう、もっと色々段階踏みたかった.....
かくして、神器と少年は出会った。
「えっと...カムイだっけ。僕はリル。これから討伐に行こうと思ってるんだけどいいかな?」
「おう!構わんぞ。俺の力をふんだんに使うがいい!」
「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」
「えっと...討伐クエスト失敗ですね。またのお越しをお待ちしております。」
「受付のお姉さんにすごい顔で見られたよ...」
「そりゃお前が俺を上手く使いこなせなかったからだ!」
「そりゃ僕戦ったことないもん。魔法とかもよくわからないし。」
「はぁ?お前もしかして依頼を魔法なんてちんけな呼び方してんのか?」
「依頼...って何?」
「依頼ってのはな、武器に能力を使ってもらうことだ。火属性の槍なら炎を出したり、弓なら矢に効果を付属させたりできるんだよ。」
「もちろん、人間と武器の信頼が重要だがな!」
「なら僕たちは使えなくない?あったばかりだよ。」
「それはこう...上手くやんだよ。」
「なにそれ...」
その時、人通りの多い道の奥からドドドドっと何かが走る音がしてきた。
「逃げないでよぉぉぉぉぉぉ!」
「ふざけるな!お前みたいな怪力女誰が持ち主にするか!」
紫のベチャベチャした武器?のような何かと、透き通るまでの黄色い髪をもつ、天使の具現化のような女の子が奥から走ってきた!
「よけろリル!ぶつかるぞ!」
「えぇ!?そんな突ぜっうわぁぁぁぁ!」
「すみませんすみません!ほらべちょべちょも謝って!」
「そのヘンテコな名前で呼ぶでない!」
「大丈夫ですや僕たちは...あなたは?」
「私はエルです!エル・コーンライト!この紫色の子は私の相棒のべちょべちょ君です!」
「相棒ではない!貴様のような馬鹿力女願い下げじゃ!」
「僕はリル・フェンです。こっちはカムイ。」
「いやいや!そんなことよりお前武器か?武界でお前のようなベチャベチャ俺は見たことないぞ!」
「貴様儂を知らんと申すか?このバアルベル様をか?」
「なんかすごい武器なの?てか武器というより粘土だけど。」
「ばばばばばばバアルベル!?当たり前だこいつは武界の指名手配犯だ!暴食のつ」
「それ以上言ったら貴様を取り込むぞ」
「人様の武器をいじめちゃダメだよベル君」
「ベル...君だと?」
「違うの?というか、討伐行くんだからついてきてくれないと困るよ!逃げないで!」
「討伐に行くんですか!?なら僕たちも連れて行ってください!」
「え?いいけどちょっと危ないよ?私たち一応A級だから。」
討伐をする人はランクがあり、EからSまでの級がある。
「危険でも、戦わないと生活費稼げないので...」
「A級か、まぁ俺は神器だから問題ないだろうな!はっはっはー!」
「おい待てなんで儂がついていく感じで話が!」
「ここら辺にいるはずなんだけどなぁ、ブラッドワイルドベア」
「どうして儂が...」
「あの、どうしてベルさんはこんなふうに?」
「わかんないけど、この子ってすごい変形して色んな武器になってくれるの!」
「だから前の討伐の時、二つに千切って二刀流にしてからこんな感じで...」
「当たり前じゃ!貴様ら四肢を引き千切られた事がないからあのような事ができるのじゃ!」
「そりゃ災難だがお前はここにいる事がおかしいだろ...」
「もう千切らないから仲良くしようよぉ...謝るからさ?」
「はぁ...もう良い。儂も貴様に命を助けられた身だからのう。」
「何かあったんですか?」
「あぁ、それはね」
エルが話し始めようとした時、ガサガサっと木々が揺れる
「ベル君!斧!」
ベルがメキメキと斧の形へと姿を変える。所々に目があり、寄生されそうなくらい手に張り付いている
「「うわぁ」」
「貴様らから殺してやろうか?」
「みんな真面目に!2人とも見ててね!今から出てくるのが...」
「これからどこかで君たち2人が立ち向かう困難だよ。」




