第9話『義妹、兄の友達を“巻き込み型サバイバル”に招待する』
ある日、放課後のこと。
俺の友人――高橋 翼が、ふと言った。
「なあ、篠原。今日、お前んちで課題やらね?」
「……悪い。今日は無理だ」
即答した。だって今日は義妹のサバイバル強化週間。
家は完全に危険地帯になっている。
「なんだよ、珍しいな。いつもは『別にいいけど』とか言うくせに」
「今日はマジでやめとけ。命の保証がない」
「課題やるだけで命かかる家ってなんだよ!」
――まあ、普通はそう思うよな。
◇
しかし、結局押し切られ、
俺と高橋は一緒に家へ帰ることになった。
玄関を開けた瞬間――
「お兄ちゃん、おかえり! 今日は“来訪者巻き込みサバイバル”だよ!」
「は!? 初耳なんだけど!!?」
咲良がリビングから元気よく登場。
背後には、ダンボール製の「来訪者歓迎ゾーン(※危険エリア)」の文字。
高橋、フリーズ。
◇
「ちょっと咲良、お前今日は大人しくしてろって――」
「無理! 今日のテーマは“友情サバイバル”だもん!」
「そんなテーマいらねえよ!!」
高橋は恐る恐る尋ねた。
「あの……これ、なに……?」
咲良はにこやかに答える。
「篠原家恒例、サバイバルごっこです! 今日はお兄ちゃんの友達も強制参加!」
「恒例!? 強制!?」
すでに逃げ道はなかった。
◇
こうして始まった「友情サバイバル」。
・リビングのドアを開けると、吊るされたぬいぐるみが降ってくる(謎のビックリ要素)
・ソファに座ると、下からクッション弾が飛び出す(お手製バネ仕掛け)
・飲み物を取ろうとすると、冷蔵庫内からゴムヘビ登場
高橋:「な、なんだこの家!? 普通に生活してる篠原が怖い!!」
俺:「俺だって毎回怖いんだよ!!」
◇
最終的に、全クリアしたら咲良から
「お疲れ様、今日の冒険の勇者は高橋さんでした!」
と、なぜか手作りの“勇者メダル(ダンボール製)”を渡されていた。
「い、いらねぇ……」
◇
帰り道。
高橋は遠い目で言った。
「なぁ……お前、毎日こんな生活してんの?」
「ああ」
「お前、すげぇよ」
尊敬なのか哀れみなのか、よくわからない目で見られた。
でもこれが、俺の日常なんだよなぁ……。
(つづく)
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