第5話『義妹、体育祭でバトルロイヤルを始める(もちろん兄も巻き込む)』
秋晴れの空の下。
咲良の高校では、年に一度の体育祭が開催されていた。
普通なら、応援合戦やリレーで盛り上がる青春イベント――のはずなのだが。
「お兄ちゃん、ちょっとこっち来て!」
俺、篠原悠真はまたしても義妹――篠原咲良に呼び出されていた。
休日返上、体育祭見学に来ただけなのに、なんだこの不穏な空気。
◇
「ねぇ、お兄ちゃん。ちょっと相談があるんだけど」
「なんだよ」
「うちのクラス、**障害物リレーの選手が一人来れなくなっちゃってさ」
「……まさか」
「で、代わりにお兄ちゃん出てくれない?」
「はあああああ!?」
いやいやいや、待て。
ここ、俺の学校じゃないからな!?
そもそも出場者、保護者とか家族で代用できるもんじゃないだろ!?
「大丈夫! 先生には“うちの兄、学校非公認だけどサバイバル経験者なんで”って言っておいたから!」
「なにその説明!?」
「先生、『まあ体育祭だし、いいよ』って」
お前の学校、どうなってんだよ……。
◇
というわけで、俺はなぜか他校の体育祭、しかも障害物リレーに出る羽目になった。
しかも、ただの障害物リレーじゃない。
咲良が事前に仕掛けた“サバイバル仕様”。
・平均台の下に「床バウンドボール」が大量に置かれていて転びやすい
・縄跳びゾーンのロープが「勝手に動く自動巻きロープ」になっている
・最後のゴール前には謎の「スモークマシン」
「またお前の仕業かよ!!!」
「うちのクラス、勝たなきゃ楽しくないでしょ♪」
そういう問題じゃない。
◇
レース開始。
「……仕方ねぇ、やるしかないか」
俺は全力で駆け出し、次々と仕掛けをクリアしていく。
転びかけながらもバランスを保ち、跳び縄をタイミングよく飛び越え、
最後のスモークゾーンをダッシュで駆け抜け――
「ゴールッ!!!」
咲良のクラス、1位。
会場からは「おお~っ」と歓声、
そしてクラスメートたちからの「咲良ちゃんのお兄さん、すごい!!」の声。
……違うんだ、
俺はただ静かに日常を過ごしたいだけなんだ。
◇
競技終了後、咲良がにっこり笑って言った。
「お兄ちゃん、やっぱりサバイバル向いてるよね!?」
「やめさせろ!!」
でも、その笑顔を見てたら、なんか文句言えなくなるのが悔しいところだ。
――こうして俺の平和な休日は、またしても義妹のサバイバルによって終わった。
(つづく)
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