第3話『義妹、コンビニでバトルロイヤルを始める』
放課後。
俺は、家ではなく、コンビニの前でため息をついていた。
「……ここでもサバイバルって、どういうことだよ」
隣でにこにこと笑っている義妹、篠原咲良は、自信満々に言い放つ。
「今日のミッションは――“おやつ争奪サバイバル・コンビニ編”!」
「おやつぐらい普通に買え!!」
「いやいや、お兄ちゃん、この世は弱肉強食なの! 限定お菓子をめぐって生き残りをかけた戦いが今、始まるんだよ!」
なんか壮大な話にしてるけど、
たぶん単にお菓子コーナーでふざけたいだけだろ、こいつ。
◇
「で、どうやって戦うんだ?」
「簡単! このミッションにはルールがあるんだ」
――ルール説明 by 義妹――
① コンビニに入った瞬間から、兄妹でおやつ争奪戦開始
② 陳列棚にある“期間限定”のタグがついた商品だけがターゲット
③ 相手より先に5個ゲットした方が勝利
④ 負けた方は帰り道に“変な歌”を歌いながら帰宅
「お前、それ店の迷惑にならないように静かにやれよ?」
「もちろん! サバイバルにもマナーが必要だもんね!」
たぶん理解してないけど、入店。
◇
コンビニに入った瞬間、咲良はダッシュした。
しかも、カゴを頭にかぶって。
「いざ、開戦!!」
「なんでヘルメット代わりにしてんだよ!!」
おやつコーナーで、
俺も負けじと「期間限定チョコ」を素早くゲットするが――
「その手は読んでたよ、お兄ちゃん!」
咲良がさっと横から「期間限定プリン」を奪取していく。
くそ、意外と早い。
「ほーら、あと2個で私の勝ち~」
「ちょっと待て、普通に買い物してる人たちから距離取れよ!!」
「だいじょーぶ、私たち兄妹だから怪しまれないって!」
いや、もう十分怪しまれてるからな。
◇
結局――
・俺、季節限定ポテチ×2
・咲良、限定チョコ×1・プリン×2・グミ×2
と、完敗。
「はい、私の勝ち! 帰り道は“変な歌”でよろしくね!」
「……マジでやんの?」
「約束は約束だよ、お兄ちゃん!」
◇
そして、夕暮れの住宅街に響く。
「チョコ~プリン~ポテチ~♪ 今日も平和だ義妹サバイバル~♪」
という謎の即興ソング。
……近所の犬に吠えられた。
◇
帰宅後。
「今日も楽しかったね、お兄ちゃん!」
「……お前、いつまでこれ続けるつもりなんだ?」
「え、ずっと?」
「やめろ」
だが、この平和な(?)日々はまだまだ続く予感しかしない――。
(つづく)
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