諜報活動をせよ。
本日は日曜日、愛子パパは会社がお休みでリビングのソファに横たわっている。
「ポメちゃんはいいよなぁ毎日ダラダラ食っちゃ寝 、食っちゃ寝してればいいんだから」
ウーワンワン! ワンワン!(我を愚弄するな。お前は我の苦労を知らぬであろうが!ヒモ男が)
「怒っているのかいポメちゃん。俺の言ったこと分かってたりして・・・アハハ」
この愛子パパは我の格付けでは、1番が愛子ママ2番がポメラニアン王子と愛子殿そして、その他大勢の地球人10番目に愛子パパである。格下の人間に馬鹿にされたので、我は怒っているのである。
そこへ愛子ママが掃除機をかけながら2階から1階へおりてきた。
ウィーーン(掃除機の音)
「あなたー暇なら洗濯物を干してー」
「ポメちゃん天気がいいから公園にでも散歩でも行こうか!」
愛子パパは我に首輪をつけ散歩に出かけた。今日は日曜日なので週1回の諜報活動の日である。散歩で行く大きな公園で我らの同士があつまるのだ。そして、公園内で町内の人間の情報を得ることができるのである。
我は犬族ゆえに地球の犬の話す言葉わかるのだ。
まず、出会ったのが我の住む家の向かいに住むブルドックの犬おばさんだった。向かいの家の2階の窓から我れの自宅を監視している。どうやら犬は室内で飼われるものと外に飼われるものがいるようである。
ガウガウ! ガウガウ(あら、王子、今日も毛並みがよろしいわね)
ワンワン(これは、どうもブル姉さん)
ガウガウ ガウガウ ガウー(私見たのよ、あなたの隣にいる男が隣の奥様と楽しそうに会話しているのを。これから間違いなく、浮気がはじまるわよ)
ワンワン(ご忠告ありがとうです。)
ガウガウ(所詮、人間も獣よね。それでは、王子ごきげんよう)
ブルドック犬のおばさんとお別れをした。この犬は町の噂を集める井戸端会議のおばさんだ9割方、どうでもいい下世話な、ワイドショーネタである。
次にやってきたの我が住む家の3間となりにいる、柴犬がやってきた。
オウオウ!(町の平和は私が守る。不審なものは逮捕だー)
こいつは自宅の家の前を通るもの全てに(泥棒だな! 泥棒だろ!)吠えるバカ芝犬ポリスだ。
なぜか町の平和をまもることに一所懸命だ。
オウオウオウ(王子ではないか、何か困ったことはないか?)
ワンワン(別に大丈夫です。)
オウオウオウ(私がいるかぎり、この街は安心安全だー)
ワンワン(そうですね。お仕事頑張ってください、さようなら)
オウオウ(それはそうに違いない俺が町を守るんだから、さらばだ友よ)
柴犬ポリスの暑苦しさは我は苦手である。何に一生懸命守っているんだろう。
そして公園を出ると、横断歩道の向こう側からプードル夫人がやって来た。
この町で一番お金持ちの家の犬だ。
クンクン(あら、落ちぶれ王子、ご機嫌うるわしゅう、こんにちわ)
ワンワン(プードル夫人、今日も素晴らしいプードルカットですね)
プードル夫人は、犬の美容室の帰りらしく、毛がつやつやのピカピカだ。このプードルカットをするのに5時間もかかるらしい。
クンクン クンクン(王子は地球を侵略されたいとか、わたくし金持ちの家に来たため特に人間に不満がないのでございますわよ)
ワンワン(それは、いいことですね)
クンクンクン(そうだ、王子にプレゼントがあるの)
プードル夫人は、高級ビーフジャーキーをポメラニアン王子の前に差し出した。
クンクン(美容院の店員にもらったんだけど、私ビーフジャーキーは、硬くて好みじゃないの)
ワンワン ワン!(我は王子ゆえに、よそからもらったものを受けとる、わけにはいかぬ)
しかしポメラニアン王子はビーフジャーキーを口に入れた。これは旨い。
クンクン クンクン(言葉と身体が半比例してるわね。本能でビーフジャーキーを受け入れてしまう。犬の悲しいサガよね)
ポメラニアン王子は、プードル夫人に会うと何かしらレゼントがもらえるので、意外と好きである。
我は108銀河星から、遥々やって来た犬族のポメラニアン王子である。これより地球を侵略する。
つづく