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ゾンビは治せる病気です~Dr.アピリス診療所~  作者: 長多良
第6章 ゾンビ病棟24時
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第51話 無人の旧病棟

 突然現れた、異常再生症の患者に攫われ、私とヒナコちゃん、そして財前マシロという医者は、ニニカさん、メアリさんから引き離されてしまった。私達を攫った患者・・・シッポのようなものが生えるほどの副作用が出ていた男。ニニカさんは「トカゲ男」と呼んでいたが、その身体能力は驚異的だった。私たち三人をシッポで掴んだまま、一度病院の建物から出て、しばらく外を駆け抜け、また別の建物の中に入っていった。


 そのような状態で相手が丁寧に扱ってくれるわけもなく、締め付けと振動でかなり苦しかったが、私はヒナコちゃんを守りながらも、必死で抜け出そうともがいた。徐々に締め付けは緩んできたが、その結果、財前マシロが先に振り落とされてしまった。そのまま財前マシロを置いて、私たちはさらに建物の奥に連れていかれる。


 財前マシロも心配だが、未だ私と一緒に捕まっているヒナコちゃんを放っておくわけにもいかない。私はさらにヒナコちゃんも一緒に解放されるようにもがいた。すると業を煮やしたのか、相手はシッポの拘束を解き、私を建物の床に叩きつけた。


「きゃぁぁあ!」


 ヒナコちゃんが叫び声を上げる。私は叩きつけられた衝撃を何とか耐えながら、暗闇の中声のする方を見る。すると、相手はヒナコちゃんを腕に抱えていた。


「クソ・・・!面倒なことになった・・・・!!」

「・・・!あなた!」


 独り言だろうが、相手が喋ったことで私はハッとした。相手は意思疎通が出来る状態だ。話せば分かってくれるかもしれない。


「何でこんなこと・・・」

「チッ!」


 だが、私の呼びかけなど最初から聞く気が無いようで、相手はヒナコちゃんを抱えたまま暗闇へと消えて行ってしまった。


「ク・・・!」


 私は叩きつけられ痛む体に鞭打って立ち上がる。一刻も早く追いかけなければ。私は足を進めながら自分の腰に手をやる。いつも肌身は出さず持ち歩いている、最低限の医療道具を入れたバックがあるのを確認する。もはや習慣になっているので意識していなかったが、病室から出る時にきちんと持ち出しておいたこれを使う羽目になるなんて・・・。


「ヒナコちゃん・・・!」


 私は2人が消えた方向に駆け出す。建物の中は灯りは無いが、窓から差し込む光にようやく目が慣れてきた。ここは病棟のようだ。今は使われていない、元病棟ということか。確かに全体的に古く傷んでいる。なぜこんな所に入っていったのか。何か目的があるのか、単に逃げるために咄嗟に入ったのか、あの男の目的が分からないが、とにかく追いかけるしかない。土地勘は全くないが、遠くからかすかにヒナコちゃんの悲鳴が聞こえる。その声を追って、私は全力で走り続けた。


 乱暴に開け放たれた扉を何個か通り過ぎ、随分建物の奥の方まで来た時、ヒナコちゃんの声が途切れていることに気づく。私は嫌な予感に掻き立てられ、さらにあの男が通ったと思われるかすかな痕跡を感じ取って全力で走る。


 そしてある部屋の扉を開ける時、私はさらに、どうしようもない程の嫌な予感がした。だが躊躇っている時間はない。すぐさま扉を開ける。


 そこには、先ほどの男。そして、その足元には・・・


「ヒナコちゃん!!!!」


 血まみれで床に倒れている、ヒナコちゃんの姿があった。

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