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ゾンビは治せる病気です~Dr.アピリス診療所~  作者: 長多良
第4章 ゾンビには向かない職業
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第32話 到着

 目の前に現れた、銀髪に褐色の肌の少女は、ボク達の方を一瞥した後に倉庫の中に目をやった。扉のすき間からジョージさんが敵のゾンビ達と戦っているのが少しだけ見えている。ジョージさんの話ではボク達を助けに来てくれたはずだが、どうにも様子が変な気がする。


「あの、あなたがジョージさんの仲間・・・なんですよね?」


 ボクがそう言うが、彼女は倉庫の中に顔を向けたまま、こちらを見ずに口を開いた。


「ジョージ・・・アピリスのゾンビか・・・。あの子の処置はやっぱり未熟ね・・・」

「??」


 どう考えても「助けに来た」という感じじゃない。ボクが混乱していると遠くから車の音がしてきた。


 ブロロロロ!ギャギャギャギャギャ!!


 物凄く激しい音を上げながら一気に近づいてくる。どうやらまともな運転では無い感じだ。目の前の少女も音がする方を見る。すると、影からまたもう一人女性が現れた。ジョージさんは仲間が何人かいると言っていたから、こちらも仲間なのだろうか。白く長い髪とこれまた雪のように白い肌の、長身の美女だ。彼女は特に慌てた様子もなく、優雅な佇まいで銀髪の少女に向かって問いかける。


「もうすぐ彼女が来るようですわね・・・。どうなさるおつもり?」

「ハァ・・・。行くわよ、フランシス」


 銀髪の少女が小さなため息をついてそう言うと、二人は踵を返してボク達から離れ・・・そして一瞬で夜の闇に消えていった。


「ええ!!?」


 ボクは思わず声を上げる。助けにきてくれたんじゃなかったのか?ボクの後ろで怯えていた人質の人たちも、ザワザワと戸惑いの声を上げる。


 そうこうしていると、車の音はさらに近づき、そして我々がいる倉庫の敷地内に凄い勢いの軽自動車がドリフトしながら入り込んできた。そして停まった車の中から3人の女性が飛び出してくる。


「ここね!ジョージが指示した場所は!」

「卑劣な誘拐犯はどこ!?」

「うー・・・やっぱり先生の運転怖いですよ・・・!」


 ワイワイガヤガヤと、いまいち緊張感がないが、その中の一人には見覚えがあった。


「あ!刑事さん!」

「バイトの女の子!!」

「この人がジョージの言ってた誘拐された人ですか?ニニカさん」

「そうです、アピリス先生!病院の事調べに来た刑事さんですよ。無事だったんですね!」



 ゾンビ専門の病院であった少女だ。もう一人の少女、髪に褐色の肌の少女と騒がしく話している。ついさっき闇に消えた少女とそっくりだ。さっきのは一体何だったんだろう、とも思うが、先ずは助けを求めるのが先だ。


「そうです!協力感謝します!ゾンビの男達に誘拐されて、同じように誘拐されていた市民と一緒にジョージさんに助けられたんです!」

「わあ!ゾンビ!!」


 ボクの後ろに集まっていた、誘拐されていたゾンビの人たちを指し示すと、ニニカという少女は急に歓声を上げた。


「ゾンビがいっぱい!皆さんどんなゾンビ何ですか!?」

「ちょっと!ニニカさん!」


 銀髪の少女がその様子をたしなめる。そしてもう一人の大学生くらいの女性は、ボクの方に険しい表情で問いかけてきた。


「それでジョージさんは!?ゾンビ誘拐犯という不届き物はどこですか!?」

「そうだ!ジョージさんがヤバいんです!一人でゾンビ達と戦ってるんですよ!早く警察を呼ばないと!!」


 ボクのスマホは誘拐犯に没収されているので、この人たちに助けを呼んでもらうしかない。しかし、その後の展開はボクの予想外のものだった。女子大生は倉庫の中で戦うジョージさんとゾンビ達の姿を見ると、厳しくも凛々しい表情を見せた。


「何言ってるんですか。悪のゾンビが相手なら、私たちの出番でしょ、ねえアピリス先生!」

「ゾンビじゃないですが・・・患者が暴れてるなら治療して大人しくするしかありませんね」

「やっぱり皆一緒に来て正解でしたね!何となくゾンビがらみの事件だとおもってたんですよねー。あ、誘拐されてたゾンビの人たちは私が面倒見ておくんで、アピリス先生とメアリさんは安心して戦ってきていいですよ!」

「ちょ、ちょっと待って!」


 ボクは全く理解できないまま少女たちを呼び止めた。


「何しようとしてるんだ!?まさかキミたちでゾンビ達をどうにかしようとしてるんじゃ!?」

「大丈夫、私たちに任せてください」

「何言ってるんですか!ゾンビ達は非常に乱暴で、怪物みたいな巨大な奴もいるんだよ!市民にそんな危険な事させられない!」

「だから、私たちが行くんですよ」


 そう言うと女子大生・・・メアリと呼ばれた女性は首元に下げた小さな袋を引きちぎった。すると・・・彼女の肌がみるみる青緑色になり、その髪の毛が長く、そして真っ赤になり、そしてその手にはいつの間にか真っ赤な刀が握られていた。


「ええ!?」


 ボクが声を上げるとニニカさんがツンツンとボクをつついてきた。そちらを見ると・・・ニニカさんもゾンビになっていた!?


「えええええ!?」

「いえーい、私もゾンビだから、安心してくださいね」


 ニニカさんはボクと、そして誘拐されていたゾンビの人たちに、にこやかにそう言った。


 まさか銀髪の少女も!?と思ってそちらを見たが、彼女は特にゾンビになっていないようだった。・・・ただ、手には銃のようなものが握られていたが。


「えええええええええ!?」


 何が何だか分からない!


「安心してください、アピリス先生は、ゾンビ専門のお医者さんですから!」


 ニニカさんはニッコリ笑ってそう告げる。

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