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ゾンビは治せる病気です~Dr.アピリス診療所~  作者: 長多良
第9章 ゾンビナイトフィーバー
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第98話 ゾンビ絶体絶命

「メアリちゃん!」

「ジョージさん!?」


 永遠とも思えるゾンビ達との不毛な戦いを潜り抜け、ようやく目的の場所、林の奥の建物のそばにたどり着いた時、偶然にもジョージさんもその場にたどり着いていた。


 見知らぬ山奥の村で、夜中に炎の明かりだけを頼りに、倒しても倒しても起き上がって来るゾンビ達を相手に戦い進み続ける。

 そんな中で見知った顔に出会えたというのは、本当に心からホッとした。だが、その次の瞬間には事態の深刻さを痛感した。

 それはジョージさんも同じ様子だった。


 私とジョージさんは、どちらか一人でも、一刻も早くアピリス先生の元にたどり着かなければいけいないはずだった。私たちはどう苦戦したとしても、死ぬわけではない。ゾンビだから。

 だけどアピリス先生は違う。命の危険がある。


 だのに、二人ともまだこんな所にいる、という事実は、大問題なのだ。


「センセイは!?」

「見てないです。この建物の中でしょうか!?」

「わからん。でも、入って調べてみるしかないな」


 林の向こうを目指そう、と言って私たちは別れた。その先にあったのがこの建物だ。アピリス先生がまだ村の中にいるのでなければ、この建物の中にいる可能性は高いが・・・。


「・・・?なんだ、何か変じゃないか・・・?」


 建物を観察していたジョージさんが、怪訝そうに呟く。

 そう言われて私も改めて周囲を見渡す。先ほどまでは無我夢中で気づかなかったが、言われてみると・・・。


「ゾンビの数が・・・減ってる?」


 改めて考えて見ると、少し前まではしつこいくらいに襲い掛かって来ていたゾンビ達の波が収まっていた。だからこそ、この建物にたどり着けたし、ジョージさんと落ち着いて話も出来るようになっている。

 だが、なぜ急にゾンビの数が減ったのか・・・?ゾンビは不死身ゆえに、倒しても倒しても起き上がってきたというのに・


 周囲は、先ほどまでは火事が起きていたはずだが、今は火は鎮まり、燻っているだけである。建物を含めて、水浸しになっているので、この村の住人のゾンビ達が消火したことがうかがえる。

 だが、単に濡れているだけかと思ったが、それだけではない事に気づいた。


「氷・・・?」


 よく見るとそこかしこに氷の欠片が散らばっている。その事に気づくと、周囲がやけに寒いことにも気づいた。

 これは一体・・・?


 ◆


「さあ、貴様たち、もう逃げられんぞ!ゾン神様のゾンビ犬、そして、儂もいるんじゃからな!!」


 沢山の犬に囲まれ、それだけでも絶体絶命なのに、なんと骸神佐兵衛まで戦う気満々で飛び出してきた。来ていた袴姿の上半身を何故かはだけさせて、歳の割に筋骨隆々な上半身を見せつけながら迫って来る。


「もう一度牢屋にぶち込んでくれる!!」

「しっかりやれヨ。多少傷つけてデモ、必ず捕まえロ!」

「はい!ゾン神様!!」


 ゾン神(と呼ぶべきか狼男と呼ぶべきか)も骸神佐兵衛に私たちの捕獲を任せたようだ。さらにその声に合わせて、周囲の犬達もこちらに間合いを詰めていく。


「く・・・みんな、逃げましょう!!」

「そうは言っても・・・」

「どこに逃げるとよ!?」


 私たちは身を寄せ合って部屋の端まで逃げていったが、そこが行き止まりであることは最初から分かっていた。だが、そこ以外に行きようが無かったのだ。

 壁に追い詰められた私たちの前に、レイ刑事が庇うように立ちふさがる。


 だが、そのレイ刑事に迫る筋骨隆々の骸神佐兵衛、そして犬達。

 決してレイ刑事だけでどうにかなる状況ではなかった。


 このままではレイ刑事や、みんなが・・・・!!


「や・・・やめてください!!私は、私はあなた達に着いて行きますから!他のみんなは見逃してください!!」


 もうこれしか手はない。私は声を張り上げて、レイ刑事の前に出ようとした。


 その時――――!


 ピシッ!!


 最初に聞こえたのは、張りつめたような聞きなれない音。


 その直後


 ドガアアアアアンン!!!


 部屋の入り口の側の壁が、突然()()()()()


「な、何事じゃ!!」


 骸神佐兵衛が狼狽えて声を上げる。だがさらに次の瞬間


 ピシィイイ!!


 そのような音が、空気を震わせる。

 何が起きたのか?


 骸神佐兵衛は、驚いた表情のまま、その全身を氷に包まれ、固まっていた。


「なんダト!?」


 ゾン神も状況が分からず、警戒を強める。


 何が起きているか分からないのは私たちも同じだった。


 大きく穴の開いた部屋の壁の方を見る。そこは瓦礫の破片とともに、冷たい空気が流れ込んでいた。冷やされた空気が白くもやを生む。


 その靄の中から現れたのは、二人の・・・女性。


 一人は、白い髪に白いロングコートを着た美しい白人の女性。

 そしてもう一人は・・・銀の髪に褐色の肌。私にそっくりな顔・・・。


「お・・・おねえちゃん!!」


 私の姉。パナテアの姿が、そこにはあった。


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