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第八章 オメガ・オフレアティのおもわく
オメガは眠れなかった。黒ぶちメガネをはずして革の帽子もぬいだ。ベッドに入る。しかし眠れない。身体は疲れている。だが気が高ぶって目は冴える一方だった。
オメガ・オフレアティはルガノ王国の王子だ。ルガノ王国を守るのはぼくしかいない。ぼくが究極の大魔法を手にしてルガノ王国を守る。そう決意をかためてミルトムントに来た。
しかし七つの魔法陣は簡単に見つかりそうにない。手がかりくらいはえられるだろう。ぼくは大国の王子だ。庶民とはちがう。読書量も半端じゃない。そんな思いあがりを抱いていた。きょうたった一日で天狗の鼻がポッキリと折れた。自信がなくなった。ぼくはもうルガノ王国を守れない。そんな不安に責めつづけられる。
ウィンダミアの話を聞くまでもなくラテマグナ大公国は優勢だ。間もなくリングラスト王国との戦争を終結させるだろう。すると次はルガノ王国。七つの魔法陣が見つからない状態でルガノ王国に勝つすべはない。責任という名の重圧にオメガは押しつぶされそうだ。
眠れないままオメガは寝返りを打つ。打ちつづけた。