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一章一話

あの事件の後、僕は中学校を卒業するまでしっかりと通い続けた。

一年も経って情報が回ってくると、今の社会がわかってきた。夢魔が現れてから、人間のほとんどが夢想イマジナリーという不思議な力を手に入れ始めたらしい。夢魔が出現する方が早く、皆家に篭っていたお陰で騒ぎは起きなかった。施設に帰ると何人かの子供が怪力になったり、何か見たことのない動物を出したりしていてとても驚いた。

僕は特に何も変化はなかったけれど、町ではたまに夢魔が出て人を襲ったりしている。最初の方は自警団が町ごとに出来て、夢魔に対抗できる力を持った人たちが町を守っていた。

次第に政府は国民の能力の把握や管理を始め、法律も急ピッチで作られた。

強い能力を持った人はもてはやされ、巨万の富を得ているという。物語みたいな話だ。

僕や友達が襲われたあの日は一年経った今、"運命の日(ドゥーム・デイ)"と呼ばれるようになった。

僕は変わらずテニスを続けているが、あの日以降調子が出なくて最後の大会もついに予選落ちで負けてしまった。

今や友達や目標を失って、半ば諦めのような感情を抱きながら僕は卒業式に出席している。

「卒業証書授与。起りッ」

教頭先生の頭が、転がった。

夢魔が再び学校へ現れたのだ。

夢魔は僕を見た。ような気がする。

「ギギ…グギギギギ…!」

「いや…僕を見てる…!?」

まさかこいつはあの時の!

逃げ惑う人々。その中で僕と化け物は見つめ合っていた。あの厭らしい嘲笑を見るのは一年以上ぶりだ。

「健二…羽生さん…!!」

身体が動かない。僕は、怯えているようだ。いや、違う。待っていたのだ。

「僕の番なのか」

コイツは、あの時死ぬはずだった僕を忘れてたのだ。哀れみ、僕を殺しに来てくれたのだ。

『そんなワケ、ねえだろうが。ケイ!』

僕の頬に鈍い痛みが走った。

目の前にいたのは健二だった。

『やっと出てこられたぜ、待たせたな。』

「け、健二!?」

『これがお前の夢想イマジナリーの力だ」

ケンジは小さなナイフを持って、身を隠しやすいような風貌だ。

「何その格好…?」

「プッ!久しぶりに会う死んだ友達に聞く初めての一言がそれかよ、おい!!」

彼の笑った顔を見たとき、僕は確信した。

「はは、現実なんだ…!」

「当たり前だろ、俺達を殺したあいつをぶっ殺そうぜ」

ケンジは不敵に笑った。

「ギィャオオオ!」

夢魔はこちらに飛び出してきた。

「でも僕戦いなんて…って何これ!?」

気づくと僕の手には一振りの剣が握られている。

「俺も詳しくはわからん。それと、俺も殺し合いは初めてた!!」

僕とケンジは夢魔が飛びかかってくると同時に走り出した。

「なんか…身体が軽い。しかも頭がよく回るぞ…?」

すごいスピードで迫ってくる夢魔の攻撃を僕は避け続けている。

「ケンジはどこに行ったんだ?」

そう口に出した途端、夢魔の背後にケンジが現れた。

そして背中からナイフを突き刺した。

「不意打ちじゃぁ!!」

「グアアア!?」

「アーッハッハッハッ!なんか透明になれたぞ、ケイ!」

凄い…僕もなんとか食らいつかなきゃ!

「僕からも…食らえ!!」

ぎこちない攻撃だったけど、僕の剣は切れ味が凄まじく、相手の手足を切り裂いた。

「勝てそうだ!」

そんなことを言った直後。夢魔の身体が大きくなった。

「はぁ!?」

ケンジは殴り飛ばされ、壁に叩きつけられて、間髪入れず潰されて死んだ。

「ケンジ!!!」

「ふぃ〜、死ぬかと思ったぜ」

「ケンジ!!?」

今たしかにあっちで死んでたはず。

「よくわからんが、そういう力なんだろ。いくぞ!」

僕たちは必死で戦った。

「「うおおおおお!!」」

そして、敵討ちを終えたのだ。

「やった、勝ったぞケンジ!」

「へへ、やったなぁ!ケイ!!」

僕たちは久しぶりにハイタッチをした。

「ふぐ…」

「なんだぁ?ぶはっ、泣きそうじゃねーかお前!」

「泣くもんか!」

二人で笑い合う。こんな簡単なことなのに、僕たちには許されていなかった。目の前の化け物のせいで。

「な、なんだ君たちは…?」

「「え?」」

目の前に現れたのは、胸にバッジをつけた黒髪のお姉さんだった。スラッとしていて、腰には剣を携えていた。

「こいつを君たちが倒したのか?」

「え…はい。そうですけど」

「ケイ、じゃあ俺は消えるぜ」

「え、急に何で!」

「あ、勘違いするな。いつでもお前が望めば出てこれるさ」

瞬きした拍子にケンジは消えた。ついでに僕が持っていた剣も。

「ん…色々と疑問が残るが、キミにはご同行を願おう か?」

「はい!」

こんにちは、一介です。

もしこの作品が気に入った、面白かったという方はぜひ感想、アドバイス、お待ちしています。

不定期ではありますが、ぜひブックマークして、この作品を楽しんでいただけたら幸いです。

ではまた次回の話でお会いしましょう。

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